数多くの話題作に出演する人気女優・早見あかりが、9月15日からBunkamura シアターコクーンで始まる舞台『血の婚礼』に主演として降り立つ。一人の女をめぐり、男二人が命を懸けて闘う愛の物語で、その女「花嫁」を演じる。プライベートでは一昨年に女の子を出産し、一児の母としても奮闘。愛娘に対する愛情エピソードのほか、ピラティスとの出合いについても語ってくれた彼女。人生のステップを着実に踏み、新しい“愛”を日々大切にする早見あかりが魅せる舞台『血の婚礼』に注目です!

Photo:望月宏樹
Text:kukka編集部

これから脚本ができ上がり、セリフも含めて舞台の詳細が見えてくる段階かと思います。現時点での演じられる「花嫁」に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

私が演じる「花嫁」は、ある意味で“素直な人”だと思っています。絶対にダメな相手だと分かっているにもかかわらず、自分の気持ちに従って素直に動いてしまう印象があります。

約1年ぶりの舞台になりますが、本作へ臨む意気込みを教えてください。

今回の作品は、楽しくハッピーな作品ではないため、心身ともに削られるのかもしれません。ただ、お芝居をする意味においては、役への向かい方は変わらないものと考えています。アクシデントも起きますし、また起きた時にどうするかも舞台ならではの面白さだと思っていて、今から楽しみにしています。

共演される木村達成さん、須賀健太さんの印象を聞かせてください。

ビジュアル撮影の機会でまだ一度お会いしただけですが、すでに息が合っています。木村さん、須賀さんと「はじめまして」の挨拶直後に、ものすごく密着して、ものすごいポーズを3人で撮る、かなり厳しい体勢を求められたんです。その撮影がとても楽しくて、もうすでにひと山乗り越えたような達成感があって、3人の絆もそこで生まれた気がします(笑)。作品の内容は重いのですが、役者としてはしっかりと楽しんで取り組みたいと思います。また、それができそうな方たちだなと思って、本番までさらに楽しみになりました。

お二人との相性も良さそうで、これからの稽古が楽しみですね。

誰に対しても壁のない方たちだったので、スッと打ち解けられました。私もお話するのが好きなのですが、私以上に木村さんもお話するのが好きな方なんです。木村さんのお話に私と須賀さんが一緒になってツッコミを入れる3人の役割がもうすでに出来上がりつつあります(笑)。これから稽古を通して、もっと仲良くなれそうな期待がありますね。作品自体にその仲の良さが出るわけではないのですが、芝居をする上で3人の信頼関係はしっかり築けそうだと感じています。また、お二人とも数多くの作品に出演されているので、安心して作品づくりができるのではないかと思います。

“愛”がテーマの作品でもあると思います。早見さんご自身は最近何か愛を感じる瞬間はありましたか。

やっぱり一番は娘ですね。

お子さんはもう性格とか、分かり始めてますでしょうか。

すごく几帳面な子ですね(笑)。ドアをきちんと閉めたり、ゴミをきちんとゴミ箱へ入れるのが好きなんです。1歳ですでに自分のオムツをゴミ箱へ捨てていたんです。おむつのゴミ箱がこれだともう理解しているみたいで(笑)。今では「このゴミを捨ててきてくれる?」とお願いするんです。「うん」と頷いて捨ててくれるくらいしっかりしています。

10歳くらいになったら、すごくしっかりした女の子になっていそうですね。

きっとママはいつも叱られているかもしれないですね(笑)。でも、毎日、彼女を見ていると面白いです。良いことも良くないことも、すぐに真似ようとしますし。

では仕事を終えたら、早く娘さんに会いたくなってしまいますね。

そうなんです。でも今は仕事もとても楽しいんです。仕事があるから家庭や子育てともバランスが取れている気もします。仕事が自分の居場所だと思っているので、家庭だけでなく仕事も本当に大切だなと実感しています。また、コロナ禍で妊娠を経験して人と会う機会がなかった分、今こうして仕事の現場にいることで、その大切さを感じられています。お仕事をいただけていることがありがたいです。

今回の舞台でまた役者としても大きなキャリアを積むことができそうですね。

仕事もプライベートも、どちらの自分も大事にしたいと思っているので、相互に良い影響を与えられたらと思っています。結婚、出産、子育てと人生のステップをどんどん踏んでいくことで、人としても深みを増して、それを役にも生かしていきたいですね。外で働くことで、気持ちを安定させて、家庭でもハッピーに過ごせたら最高だと思います。

舞台はもちろん、映画やドラマなどもあります。今後はどのような取り組みを考えてますでしょうか。

どれにもいろいろな良さがあるので、求められるものをしっかりとやっていきたいと思っています。

今回の舞台で、一人の女優として、どのようなことを経験できたらと考えていますでしょうか。

初めての舞台『夢の劇 -ドリーム・プレイ-』では観ていただいた方に委ねるような気持ちがありました。2作品目の『パ・ラパパンパン』では、観た方にほっこり幸せな気持ちになってもらうクリスマスプレゼントのような作品でした。今作はこれまでとは違って重厚な作品です。自分自身がどういう気持ちに変化していくのかまだ想像ができていないですね。切ない話ではあるけれど、“愛”という意味では、どこか幸せであって欲しい気持ちでいます。

これから役のイメージを膨らませていく感じですね。

舞台に限らずどの仕事に対してもそうだったのですが、以前はこの役はこうなのだろうと事前にしっかり考えることが多かったんです。ただそれだと現場で何かの違いに気づいた時、私自身がうまくそれに対応することができないことが多くあったんです。私の場合、自分がこれだと固めてしまったものから、変えることがあまり得意ではないことが分かったので、だったら最初はあまり深く詰めて固めないで、柔らかい状態で臨んだ方が良いことを経験から学んできました。いろいろな人との関わりや、現場で入ってくる情報でどんどん変わっていくものなので、あまり「こうしたい」みたいな強い気持ちで構えるよりは、現場で作っていけるようにしたいですね。

「シアターコクーン」での舞台も2回目になりますね。

昨年出演させていただいた『パ・ラパパンパン』で初めて舞台入させてもらった時、先輩役者さんに言われたことを覚えています。「シアターコクーン」は、お客さんとして舞台を観るにも見やすくて素晴らしいし、役者として舞台に立ってもすごく気持ちの良い舞台なんだよ、と。まだまだ舞台経験も多くはないのですが、それでも実際にお芝居をしてみて、シアターコクーンがすごくやりやすい舞台だったなと実感しています。またこうして、一年も経たずにその舞台に立たせていただけるなんて本当にありがたいことだと思っています。

先ほど、お子さんのお話もありましたが、そのほかのプライベートについてもお話を聞かせてください。最近、何かハマっていることはありますか。

ピラティスです!(笑)。今年に入ってから始めたばかりなので半年くらいになります。

ピラティスを始められたきっかけは何かあったのでしょうか。

学生時代の親友がピラティスのお店でインストラクターをやり始めた時に、ちょうど私も産後で何か体を動かすことをしないと、と思っていたところだったんです。ピラティスの始まりがリハビリや療養目的で始まったものでしたし、ちょうど産後の体にも良いと聞いたので始めたのがきっかけです。きちんと体の内側から、元の体に戻していけたらと思っていました。外側だけではなく内側から整えて綺麗になることは、私が求めていることにも合っていました。今はその親友に教えてもらいながらピラティスをしています。

体験してみてピラティスのどんなところが良かったのでしょうか。

一回、レッスンを受けただけでものすごく体の変化に気づけたんです。初めての時、たった50分のレッスンでこんなにも違いを実感できるんだ、と思いました。一番は、息をすごくしやすくなりましたね。悪い姿勢でいると呼吸も浅くなってしまいます。良い姿勢で呼吸をすると、歩くのが軽くなったり、とても良い効果をもたらせてくれるんです。今は週に1〜2回通っていて、楽しんで続けています。

これからも長く続けていけそうですね。

そうですね、長く続けられそうです。半年間続けて、インナーマッスルを鍛えられたので、体力もついたと実感しています。先日、とあるバラエティ番組のロケで一日に15キロを歩く機会があったんです。もちろん疲れは感じたのですが、ピラティスを始める前だったらヘトヘトだったと思うのですが、収録が終わった時の気持ちは「意外に15キロを歩けるものだな」だったんです。明らかにピラティスで体力がついたことを実感できた瞬間ですね。体もそうですし、心もスッキリさせてくれます。

それでは最後に、舞台を楽しみに待つ読者へメッセージをお願いいたします。

現代との表現の違いはありますが、“愛”がひとつの大きなテーマになっている作品です。その“愛”という大きなテーマに、どう向き合うかが、私自身の課題でもあります。皆さんも劇場に来てもらって「愛とは何なのか」を考えながら、舞台を楽しんでもらえたらと思っています。

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【舞台情報】

2022年9月15日(木)~10月2日(日)
Bunkamura シアターコクーン

スペインを舞台にした愛の悲劇

『血の婚礼』

スペインの伝説的劇作家、フェデリコ・ガルシーア・ロルカによる官能的な名作悲劇。
一人の女をめぐり、男二人が命を懸けて闘う、むき出しの愛の物語。
スペイン最高の詩人とも謳われたロルカがこの戯曲の随所に組み込んだ韻文、詩的な言葉をどのように表現するかも見どころの一つ。演出の杉原はここに生演奏での音楽やダンスを融合させた表現も取り込んでいく。
当時は決して許されなかった同性愛者であったと言われるロルカが描く、「男らしさ、女らしさ」に縛られた人々の悲劇は、自らの自由と権利を発信していく時代の変化の真っ只中にある今の私たちに、新鮮な発見をくれるだろう。
スペイン最高の詩人とも謳われたロルカがこの戯曲の随所に組み込んだ韻文、詩的な言葉をどのように表現するかも見どころの一つ。演出の杉原はここに生演奏での音楽やダンスを融合させた表現も取り込んでいく。
当時は決して許されなかった同性愛者であったと言われるロルカが描く、「男らしさ、女らしさ」に縛られた人々の悲劇は、自らの自由と権利を発信していく時代の変化の真っ只中にある今の私たちに、新鮮な発見をくれるだろう。

本作は、実際に起きた事件を元に1932年に執筆され、翌年にロルカ自身の演出によりスペインで初演、同年にアルゼンチンでも上演された、ロルカの3大悲劇の1作。舞台はスペインのアンダルシア地方。婚約した一組の若い男女が互いの家族の期待を背負いながら結婚式を迎えようとする姿、そしてそこに現れた花嫁の昔の恋人がすべてを変えてしまう抑えきれない愛を描く。数奇な血の宿命、言葉では説明のつかない愛と衝動、地の因習に縛られた男たちの闘い女たちの戦い・・・絡み合う事象が、ドラマを生んでいく。今の時代に圧倒的に足りない、“生身の人間のむき出しの熱情”を舞台上から浴びることができる、情熱的な演劇作品だ。

<キャスト>
木村達成
須賀健太
早見あかり

南沢奈央
吉見一豊
内田淳子
大西多摩恵

安蘭けい
ほか

<演奏>
古川麦
HAMA

<クリエイティブスタッフ>
原作:フェデリコ・ガルシーア・ロルカ 翻訳:田尻陽一 演出:杉原邦生 音楽:角銅真実、古川麦 美術:トラフ建築設計事務所 照明:齋藤茂男 音響:稲住祐平(エス・シー・アライアンス) 衣裳:早川すみれ(KiKi inc.) ヘアメイク:国府田圭 振付:長谷川風立子(プロジェクト大山)
殺陣:六本木康弘 演出助手:河合範子 舞台監督:足立充章 ほか

<東京公演>
期間:2022 年 9 月 15 日(木)~ 10 月 2 日(日)
劇場:Bunkamura シアターコクーン
主催・企画制作:ホリプロ

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早見あかり・プロフィール

はやみ あかり。1995年3月17日生まれ。東京都出身 。2014年にNHK連続テレビ小説『マッサン』に主人公の妹役で出演し、注目を集める。同年、映画『百瀬、こっちを向いて。』で初主演を果たす。2016年には『夢の劇 ドリーム・プレイ 』で初舞台にして初主演を務めた。その後も、ドラマ、映画、CMなど女優としての活動に加えて、バラエティにも出演、活躍の場を広げている。近年の主な出演作に、舞台『パ・ラパパンパン』、映画「走れ! T校バスケット部」「女の機嫌の直し方」「僕のワンダフル・ジャーニー」(吹き替え出演)、ドラマ「ラーメン大好き小泉さん」シリーズなどがある。最新出演作は映画「シン・ウルトラマン」。

公式インスタグラム
@akari_hayami_official

公式サイト
https://official.stardust.co.jp/akari/

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