宮崎駿が企画し、宮崎吾朗が監督を務める長編アニメーション「アーヤと魔女」。NHK総合にて12月30日に放送される本作の主人公の声優役に、女優・平澤宏々路が抜擢された。2歳から子役として芸能活動をスタートさせた彼女が、オーディションで見事に主人公のアーヤ役を射止め、いよいよ大きな舞台に立つ。インタビュー中も終始を明るく笑顔で応えてくれた初々しさが印象的な彼女。「アーヤと魔女」の舞台裏や女優としての現在、そして13歳の現役中学生らしさを感じさせる素顔にも迫ります。芝居の才能に恵まれながらも努力し続ける若き女優・平澤宏々路に注目です!

Photo:きるけ。
Text:kukka編集部

12月30日にNHKで放送されるジブリ初の全編3DCG制作となる長編アニメーション「アーヤと魔女」で主人公のアーヤ役の声優をされたそうですね。まずは物語のあらすじを教えていただけますでしょうか。

主人公のアーヤは両親がいなくずっと施設で不自由なく生活をしていたのですが、ある日、魔女に引き取られることになり、施設を離れて魔女との生活をすることになってしまったんです。私はその主人公であるアーヤの声を担当させていただきました。

主人公・アーヤ役はオーディションで選ばれたと伺いました。オーディションを受けた時の感想や手応えについて聞かせてください。

声優のオーディションは人生初の挑戦でした。とにかく結果を気にせずに楽しんで挑もう、という気持ちだったので、手応えはありませんでしたが心から楽しむことが出来たと思います。だから、マネージャーさんに「受かったよ」と言われた時は「ええっ!」と声が出てしまい、2回も聞き直してしまいました(笑)。

合格の報告を受けて、誰かに報告されましたか。

家に帰って、すぐ母に飛びつきました(笑)。

帰宅前には報告しなかったんですね。

「今日、ちょっとお知らせがあるから」とだけLINEで伝えて、家に帰った瞬間に台本をパッっと渡して「受かったよ!」と報告しました(笑)。母がすごくびっくりして「うそ!」と声に出して驚いていました。家族中、誰も受かると思っていなかったので、その日は家中がわちゃわちゃしていました。

オーディションを受けるにあたって、練習はされたのですか。

主人公のアーヤと年齢が近いこともありましたし、特別な準備はしないで挑みました。少しおてんばなところも私と似ていたので、このままの声でやってみようと思っていました。でも、大人の方々を前にして、すごく緊張したのを覚えています。

合格発表から収録まで時間があったと思いますが、どのような準備をされましたか。

声のお仕事が初めてだったので、映像をいただいて、そこに声を当てる練習をひたすらしていました。事務所でひとり、映像を観ながらブツブツと練習する日々です(笑)。監督からは「声づくりはしなくていいよ」と言われていたので、ありのままの声で練習していました。でも、映像に声を当てるのは思いの外、難しかったです。話すスピードや言葉の止め方が特に難しかったです。

普段、アニメを観る時の見方が変わってしまいそうですね。

このシーンは難しいだろうな、と思ってつい観てしまいそうですね(笑)。

練習をするのに、どなたにかにアドバイスをもらったのでしょうか。

いえ、自分ひとりで映像を観てひたすら練習していました。母には、放送されるまでストーリーを知りたくなかったようで「お願いだから家では練習しないでね」と言われていました(笑)。なので、母は今も内容を知りません。

声優として、声の部分で特に練習したポイントはありますか。

アーヤはたまに不思議な声を出すことがあるんです。リアクションが大きいので、自分でも出したことのないような声を出すときがあって、それはすごく練習しました。動きを一緒に見せることのできる普通の芝居と違って、声だけでその表現をするのは苦労しました。あと、食べ物を食べるシーンで、マシュマロを食べながら収録をしたことがあって、しばらくマシュマロがブームになっていました(笑)。

監督から、「声は作り過ぎず、いつもの声で」とアドバイスがあったそうですが、それ以外に何か監指示はありましたか。

「アーヤと魔女」はジブリ史上もっともはしたない女の子の主人公と言われているんです。なので、やんちゃな感じが出るよう声で遊んでみて、と言われました。

監督やスタッフの皆さんとは収録現場でどんな雰囲気だったのですか。

みなさん、すごく優しかったです。休憩時間は、監督からこれまでのジブリ作品についていろいろ貴重な話を聞かせていただき、とっても楽しかったです。

宏々路さんの思い出に残るジブリ作品を教えてもらえますか。

初めて観たジブリ作品が「崖の上のポニョ」で、次に「となりのトトロ」でした。あとジブリ作品ではないのですが、同じ宮崎監督の作品で、「山賊の娘ローニャ」を観ました。今回と同じ3D作品ということもあって、すっごくハマってしまいました♪

もう作品の試写はされたんですか。

はい、しました。なんだか、不思議な感覚でした。自分の声なんですけど、キャラクターから出ている声でもあったので……。

自分の声とキャラクターの声、どっちに聞こえましたか。

不思議なんですけど、映像が付くとだんだんキャラクターの声に聞こえて来ましたね(笑)。「この声、本当に自分の声なのかな」という気持ちで観ていました。

じゃあ、試写ではストーリーに没頭できたんですね。

はい。何回も台本を読んでいるはずなのに(笑)。

放送されるのは、12月30日ですが、この日はどこで放送を観る予定ですか。

まだおばあちゃんにも知らせていないので、できればおばちゃんの家でサプライズも含め一緒に観ようと思っています!

宏々路さんの女優として“演じる”ときに、意識されていること何でしょうか。

目線や視線でのお芝居は、ずっと研究してきました。今も目線は演技レッスンの先生に指導してもらっています。あと大事にしているのは“間”ですね。

「アーヤと魔女」、ストーリーとしてここに注目して、ほしいポイントを教えてください。

アーヤは10歳でまだ幼く、また何不自由なく育ってきたので、少しわがままなところがあります。でも魔女に引き取られて生活していく中で、色々なことが思い通りにいかなくなるんです。強がりなアーヤの少し弱い面、まだ小さな女の子なんだなと分かるシーンはすごく可愛らしくて、私は大好きなので、その弱い部分にも注目して観て頂きたいです。

作品について、視聴者にこれは伝えておきたいことがあれば教えてください。

アーヤのほかにもたくさんの登場人物がいるのですが、どのキャラクターもすごくクセが強いんです(笑)。魔女たちも一人ひとり個性があるので録画して何度も観て楽しんでもらいたいですね。きっと何回観ても楽しめる作品だと思います♪

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それでは、宏々路さんについてもお話を聞かせてください。小さな頃から芸能活動を始められていますよね。

もともと母がダンスをさせたかったらしく事務所に入ったんです。ですが私、まったくダンスが駄目で……。体が固いんです、今も……(笑)。でも、小さい頃から演技をするのは好きで、母もダンスより好きなことをさせてあげようとなり、お芝居を続けることになりました。

すでに芸歴も10年以上ですが、芝居をする上で心がけていることはありますか。

ひたすら「楽しむ」ことを心がけています。どんな役でも、その役をできる、それを楽しもうという気持ちはずっと持ち続けています。

プロフィールにある「和菓子」について聞かせてください。「日本全国の和菓子を食べ歩く」とありますね。たくさん食べ歩き続けた結果、いま現在のおすすめを教えてもらえますか。

大福が好きで、その大福にご当地のフルーツが入っているのが特に好きなんです。イチゴはもちろんですけど、新作が出たと聞くとすぐに食べたくなっちゃうんです。

和菓子の「餡」は、こしあん派ですか? つぶあん派ですか?

うーん、どっちも好きなので、気分によって変えています。でも、最近はこし餡派です♪

ペットのチンチラについて聞かせてください。飼い始めてどのくらいですか。

まだ飼い始めて1年ちょっとなんです。飼い始めた頃はすごく怯えていて、小屋から出てこなかったんですが、最近は部屋中を暴れまわっています(笑)。私の教科書をよくかじるんですが、可愛いから許しちゃうんです♪

チンチラは何を食べるんですか。

普段は牧草とかを食べているんですが、たまにドライフルーツも食べています。野菜チップスも大好物です。

飼われるようになったのは、どのような経緯だったのでしょうか。

もともと犬を飼っていて、その餌を買いにペットショップへ行ったんですが、その時に出会ってしまって……。一目惚れで、飼うことにしまいました♡

チンチラの名前を教えてください。

名前は「とろろ」と言います。愛犬が「シュガー」だったので、「ソルト」になる予定だったんです。でも、音のリズムで「こころ」と「とろろ」がとてもいい響きだったので、「とろろ」に決定しました。実際に、食べ物のとろろも食べるんですよ(笑)。

プロフィールに着付や茶道ができると書かれていますね。覚えるきっかけを教えてください。

幼稚園に通っていた頃に、母が行っていた茶道教室に一緒に付いて行っていたのがきっかけです。茶道や日舞を習う機会もあったため、着付もできた方がいいよねとなり、覚えることになりました。

そこで和菓子にも出会ったのですか。

いえ、もともと和菓子は好きだったんです。だから 正しくは“そこでも”和菓子でした、ですね(笑)。

現在、現役の中学1年生ですが、ふだんはどんなことをして過ごしていますか。

仕事で学校に行けないことがあるので、時間があるときは勉強ですね。ノートも取れないので、いつも授業内容を教えてくれる友だちから借りて勉強しています。友だちとは得意科目も違うので、互いに教え合っています。

宏々路さんの得意科目は何ですか。

国語と体育です!    国語は、長文読解がすごく好きなんです。

好きな本はありますか。

最近また村上春樹さんの「羊男のクリスマス」を読み直しました。短い小説をちょこちょこと読み直すのが好きなんです。「ふしぎな図書館」とか、描かれている佐々木マキさんの挿絵もすごく好きなんです。

それでは最後に、女優として今後の抱負をお願いします。

挑戦していくことが好きなので、どんどん色々なことに挑戦していきたいです。その中で成長して女優を続けて行きたいです。

<作品紹介>

「アーヤと魔女」

NHK総合
2020年12月30日(水)午後7時30分〜8時52分

宮崎吾朗監督の最新作!
スタジオジブリ初の全編3DCG長編アニメーション

舞台は、1990年代のイギリス。主人公は10歳の少女、アーヤ。赤ん坊の頃から孤児として育ったアーヤは、誰もが自分の思いどおりにしてくれる孤児院での生活がとても快適だった。だから、誰かに貰われたいなんて、一度だって思ったことが無かった。ところがある日、突然やってきた変てこな二人組、派手な女と長身の男に引き取られることになってしまう。「あたしの名前はベラ・ヤーガ。魔女だよ。あんたをうちにつれてきたのは、手伝いがほしかったからだ」。そう名乗った女に、アーヤは、「じゃ、決まりね。おばさんが私に魔法を教えてくれるかわりに、私がおばさんの助手になったげる」と返す。しかし、ベラ・ヤーガはアーヤを助手としてこき使うばかり。いくら頼んでも、いくら仕事をがんばっても、一つも魔法を教えてくれない。魔女と一緒に暮らしている怪しげな男マンドレークは、食事時しか顔をみせない。いつも不機嫌そうで、口癖は「私をわずらわせるな」。生まれて初めて“思いどおりにならない”壁にぶつかったアーヤだが、「よおし、負けるもんか」と反撃を始める。彼女の特技は周囲の人を操って、自分の思いどおりにさせてしまうことだった。

©2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

■声の出演:寺島 しのぶ(ベラ・ヤーガ役)、豊川 悦司(マンドレーク役)、濱田 岳(トーマス役)、平澤 宏々路(アーヤ役)

<スタッフ>
■企画:宮崎 駿
■原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ「アーヤと魔女」(田中薫子訳)
■脚本:丹羽 圭子、郡司 絵美
■キャラクター・舞台設定原案:佐竹 美保
■音楽:武部 聡志
■音響演出:笠松 広司
■アフレコ演出:木村 絵理子
■キャラクターデザイン:近藤 勝也
■CGスーパーバイザー:中村 幸憲
■アニメーションディレクター:タン セリ
■背景:武内 裕季
■アニメーションプロデューサー:森下 健太郎
■プロデューサー:鈴木 敏夫
■制作統括:吉國 勲、土橋 圭介、星野 康二
■監督:宮崎 吾朗
■制作・著作:NHK、NHKエンタープライズ、スタジオジブリ

NHK「アーヤと魔女」サイト

<プロフィール>

平澤宏々路(ひらさわ・こころ)

2007年9月21日生まれ。東京都出身。152cm。趣味は、リップクリーム集め、日本全国の和菓子を食べ歩く、ペットのチンチラと遊ぶ。特技は歌、殺陣、エア卓球、着付け、茶道。 2009年にCM出演し、芸能界入り。2011年にドラマデビューを果たすと「江〜姫たちの戦国〜」「わたし旦那をシェアしてた」「浦安鉄筋家族」、映画『貞子3D2』などの話題作に出演し注目を集める。2020年12月30日放送のスタジオジブリ長編アニメーション「アーヤと魔女」(NHK総合)では主人公のアーヤ役を務める期待の13歳。

平澤宏々路 Twitter

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