写真家・川内倫子が自身の出産から約3年間、子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景を撮りためて構成した新作写真集『as it is』。

©Rinko Kawauchi

ささやかな物事に宿る生命の美しさと、その気づきから積み重なっていく日々。何気ない日常の切実さを改めて大切に思う現在だからこそ、これまでの風景が違う層を見せながら、新しい時代を生きる私たちに寄り添った作品になっている。

初写真集『うたたね』(2001年)から20年という歳月の中で、日常の出来事から外の世界へとまなざしを向けながら、近作『Halo』(2017年)では、遠い宇宙を感じさせるイメージを切り開いてきた川内。
『as it is』ではそこからもう一度、自身の子どもや家族とともに、目の前の日常風景を見つめ直し、原点に立ち返った作品といえる。

©Rinko Kawauchi

3歳になるまでの子どもは、自我が芽生え始めながらも社会とは無縁に生きる、生の塊のような眩しさを持ち合わせていると言われる。本作は、現在進行形で綴る家族の物語でありながら、子どもという生命力溢れる存在の普遍性にも迫る。四季の移り変わりを通じて出会う自然と光の美しさ、暮らしの中で見つける小さな生き物たち、初めて体験する死という出来事―それらのささやかな物事に宿る生命の美しさと、その気づきから積み重なっていく日々。何気ない日々の切実さを改めて大切に思う現在だからこそ、これまでの風景が違う層を見せながら、新しい時代を生きる私たちに寄り添ったものに仕上がっている。

©Rinko Kawauchi

『as it is』

写真集『as it is』に加え、先日刊行されたばかりのエッセイ集『そんなふう』も同時に販売を行う。

『そんなふう』

【川内倫子 写真展「as it is」】

2020年11月12日(木)-12月5日(土) 12:00-19:00 日曜・祝日定休
※初日のみ20時30分閉廊
会場:RAURAUJI gallery&antique
住所:〒550-0002 大阪市西区江戸堀1-23-14 新坂ビル
URL:http://raurauji.jp

【川内倫子 / Rinko Kawauchi】

1972年、滋賀県生まれ。写真家。2002年、『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。2009年に第25回ICPインフィニティ・アワード芸術部門を受賞するなど、国際的にも高い評価を受け、国内外で数多くの展覧会を行う。
主な個展に、2005年「AILA + Cui Cui + the eyes, the ears,」カルティエ現代美術財団(パリ)、2012年「照度 あめつち 影を見る」東京都写真美術館、2016年「川が私を受け入れてくれた」熊本市現代美術館などがある。著作は写真絵本『はじまりのひ』(2018年)、作品集『Halo』(2017年)など多数。http://rinkokawauchi.com/

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