地元・高知を舞台にした2023年度前期 連続テレビ小説「らんまん」で初めての朝ドラに挑む女優でモデルの中村里帆。槙野万太郎(神木隆之介)の生家である酒蔵「峰屋」に奉公している、働き者の女中・たまを演じる。地元愛を胸に初朝ドラに挑戦する心境と意気込みのほか、10月スタートの話題のドラマ「高嶺のハナさん2」や「推しが武道館いってくれたら死ぬ」で個性あふれる役どころを見事に演じ、雑誌『Ray』のレギュラーモデルとして活躍する姿とは違った女優としての一面を惜しみなく見せてくれています。役に真摯に向かい合う姿から人柄がうかがえる女優の中村里帆にますます注目したくなります。

Photo:望月宏樹
Text:kukka編集部

現在出演中のドラマ「高嶺のハナさん2」について聞かせてください。コテコテの関西弁を話す「淀屋橋うめ」役を演じられていますが、関西弁のセリフはいかがでしたか。

正直、大変でした。初日から30回ほどやり直しすることになった一言があったんですが、「ええ、ツッコミやん」というセリフなんです。「ツッコミ」の部分の一言なんですけど、どうしてもうまく発音できなくて……。少しでも発音が違うと怪しい関西弁になってしまうので、そこは正確な発音でできるまでしっかりやらせていただきました。関西弁を指導してくれたスタッフさんから、最後の最後にようやく120点を頂けました(笑)。

関西弁のイメージがない中村さんが完璧な関西弁を話す姿はファンも驚いてくれそうですね。

周りからも関西弁で話す姿が “新鮮”と言われています。あと実際に演じて気づいたのですが、関西弁でのお芝居がとてもやりやすかったです。いつも以上に自由に立ち振る舞えられるような気がするんです。声色も変化を付けやすいですし。また、出身地の土佐弁と近いからなのかも知れませんが、言葉に遊び甲斐があるような感じがしました。ただイントネーションだけが大変でした(笑)。

では中村さん演じる淀屋橋うめの、ぜひここに注目してドラマを観て欲しい見どころを教えてください。

やっぱりツッコミですね! 撮影前に多くの芸人さんのツッコミ動画集を観て、間とかをたくさん研究したので。少し前にお仕事で品川ヒロシ監督とご一緒する機会があったのですが、そこでも私がツッコミ役だったんです。品川監督が直接ツッコミを教えてくださって、その経験も今回の作品で活かせたのではと思っています(笑)。ただ勢いよくツッコミを入れるんじゃなくて、最初は少し躊躇したような、言葉に詰まったような小さい「っ」を入れてから突っ込むとよりリアルになるよ、と品川監督からアドバイスも頂きました。同じ言葉を3回繰り返す、3段階ツッコミも勉強したので、その辺を活かしたツッコミをぜひ注目して観て欲しいですね(笑)。

関西弁にとっぷり浸かった中村さんですが、好きな関西弁を教えてもらえますか。

「よろしゅう、たのんます」です(笑)。撮影初日にあったセリフだったんですが、昔の言葉遣いのようでもあって、イントネーションも褒められたので気に入っています。「たのんます」って可愛い言葉だなと思って、これからも普段使いしていこうかなと思っています。

共演者に以前も仕事でご一緒されたことのある方はいらっしゃいましたか。

天井苺役の香音さんは、雑誌『二コラ』のモデル時代から一緒でした。ドラマでラップバトルするシーンがあるんですけど、まさか香音さんにラップで罵られる日が来るとは思ってもみなかったので、すごく楽しかったです(笑)。

香音さんも個性ある役どころですが、中村さんの関西ノリな姿も楽しみですね。

そうですね、ぜひ小柳さん演じる不動さんとの掛け合いを楽しみにしてもらえると嬉しいです。

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ドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』についても話を聞かせてください。まず中村さんの役どころを教えてください。

岡山で活動するアイドルグループ「ChamJam」の最年長であり、またリーダーで不動のセンター「五十嵐れお」役を演じています。アイドルの中のアイドル、王道のアイドル役で、どんな時でもアイドル「五十嵐れお」であり続ける芯の強い真面目な女の子です。ただ、ステージを降りると過去に傷ついた経験もあり、どこかで自信の無さを感じる表情も見せるような女の子でもあります。

中村さんから “アイドル”をイメージすることはなかなか無かったのですが、今回このアイドル役の話があった時にはどういった気持ちでしたか。

はじめは「どうしよう」と思いましたね。センターでしかも王道のアイドルを自分が表現できるのか心配もありました。ただ、もともとアイドルが好きだったので、楽しみも少しありつつ、演じるなら徹底的に研究して撮影に臨まないといけないと思いました。撮影現場で「ChamJam」のメンバーに会ったら、なんだかどんどん自信を付けさせてもらったのを覚えています。気づいたらセンターで歌っている自分がすごく楽しくて(笑)。だから、みんなのお陰で「五十嵐れお」にさせてもらったような気持ちでいます。

役を演じるにあたり、どのような取り組みをされたのでしょうか。

現役で活躍されているアイドル、とくにセンターの方の話し方や踊り方を徹底的に観ましたが、なかなか自分に染み込ませるのが大変でした。でも不思議とアイドルの衣装を着て、ツインテールをしたら、自信が出て来るんです。自然とウインクができたりして、本当に今回は衣装やヘアメイクからもらうパワーは大きかったと思います。

挑む前はアイドルらしいことを演じるのが相当不安だったようですね。

そうですね、不安でした。あざとさや愛嬌を積極的に出していくのは、普段の私からは距離があることだったので(笑)。最初の頃は、本当にどうしよう、と頭を回転させていることも多くあったんです。でも、気づいたら、それを楽しんで自然と演じている自分も居て、楽しく演じることができました。

今回、リーダー役であり共演されたメンバーよりも少しお姉さんだからより大変だったのではないでしょうか。

「れお」はみんなを引っ張っていくタイプのリーダーではなく、後ろから見守って支えるタイプのリーダーだったこともあり、撮影現場でも自分がグイグイ引っ張って行こうというよりも、ドラマと同様に全体を見るようにして、みんなを後ろから見守っていこうと努めていました。

放送後の周囲の反応も楽しみですね。

私の周りに原作のファンの方がすごく多く居て、友だちからも「アイドル役、期待しているよ」とプレッシャーの連絡がいくつかありました(笑)

ドラマでは同じ事務所の後輩でもある@onefiveの4人とも「ChamJam」で同じグループになりましたね。

みんな優しい子たちでした。4人ともキャラクターがうまい具合に違っていて、一緒にいるとすごく面白かったです。例えば、お互いボケているのに、誰も突っ込まない不思議な感じで「誰も突っ込まなくていいの?」と一度聞いたら「これが日常なんです」と(笑)。みんな自由で仲良くて可愛かったです。

ロケ地である岡山には何度か行かれたと思いますが、何か撮影中の思い出はありますか。

原作で岡山の名所が描かれているのですが、撮影の現場でも同じ場所に行くことがありました。そこでみんなして原作と同じ場所だと言って記念撮影はたくさんしましたね。

「推し」がテーマのドラマですが、いま中村さんが「推し」ているものを教えてください。

「中森明菜」さんがずっと推しです!

意外ですね。何かきっかけはあったのでしょうか。

あるオーディションで歌を披露する機会があったのですが、私の声は低い方なので、今の流行りの曲だと歌えないことが多いんです。何か良い曲がないか調べているうちに「少女A」に出会いオーディションでも歌ってみたんです。そしたら審査員の方に褒めていただいて。それが嬉しくて、ほかの曲も歌えるようになりたいと思い調べていくうちに、どんどん「中森明菜」さんの沼にハマってしまいました(笑)。

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2023年に出演が決まっているNHK朝ドラ「らんまん」についても聞かせてください。前出の「高嶺のハナさん2」や『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の役どころに比べると、正面から取り組めそうな役どころですね。

出身地でもある土佐の女の子の役なので、そういう意味では私に近い役ではありますね。

言葉の面ではやり易いことはあったのでしょうか。

そうですね、明治時代の設定で昔の言葉遣いではあったのですが、基本的には私が高知で話していた言葉がセリフに並んでいて、だいぶホッとしました。

朝ドラには初めての出演とのことですが、その出演が決まった時の率直な気持ちを教えてください。

本当に嬉しかったですね。嬉し過ぎると、かえって涙は出ないものなんだなと実感しました。それくらい嬉しかったです。

出演決定の知らせはどのように聞いたのでしょうか。

デビューの頃からお世話になっていた事務所の方から聞いたので、一緒になって喜びました。

家族の方も喜んでくれますよね。

はい、すごく喜んでくれました。上京する時にも泣く泣く別れてきたので、やっと家族に恩返しができるかなと思っています。

朝ドラに出演されたことのある先輩に話とかは伺ったりしたのでしょうか。

いえ、聞いてないんです。だから、どんな現場の雰囲気かまったく想像できていないです。でも憧れの方々と仕事でご一緒できる機会なので、臆せず堂々と「たま」を演じられたらと思います。

中村さんは出演作品をオンエアでチェックする際に、一視聴者としてドラマを観られるタイプでしょうか。それとも自分の芝居が気になってしまうタイプでしょうか。

基本的には自分のことが気になってしまってなかなか一視聴者として楽しく観ることができなくて。もう少し抑揚を付けた方が良かったなとか、動きをもっとこうすれば良かったなとか思ってしまうタイプなんです。反省点ばかりが気になってしまいますね。ただ「高嶺のハナさん2」だけは違って、1話目から涙が出るくらい笑って楽しめました(笑)。

朝ドラは楽しんで観られるといいですね。ご家族の方は作品が放送された後で、連絡は来るのですか。

父も母もLINEでの感想文がすごいです(笑)。ひたすら褒めてくれるので、とてもありがたい私のファンです(笑)。自分では反省しつつ、両親からの温かいコメントを励みに頑張って行こうと思います。

高知が舞台の朝ドラ「らんまん」ですが、観光大使になった気分で高知に行ったら、これを食べてというものを教えてください。

「カツオの塩たたき」は絶対に食べて欲しいです! ポン酢ではなく「塩」です。塩の方がカツオの良さが伝わると思います。カツオの新鮮さも高知で食べた方が断然良いので、ぜひ高知に行ったら食べて欲しいですね。

最後に、中村さんの作品を観てくれるファンの方にメッセージをお願いします。

作品によってまったく役柄がそれぞれ違うので、いろいろな顔の私を観てもらいたいなと思います。関西弁も、アイドルも、みなさん観たことのない私だと思うので、新鮮さを面白がって観ていただけると嬉しいです。


【プロフィール】

中村里帆(なかむら・りほ)

1999年8月6日生まれ、高知県出身。2013~2016年に雑誌『nicola(ニコラ)』専属モデル。2017年より雑誌『Ray』のレギュラーモデルとして活躍するほか、2021年にはドラマ『シンデレラはオンライン中!』で初主演。2022年10月より放送中のドラマ『高嶺のハナさん2』に淀屋橋うめ役、ドラマ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』に五十嵐れお役で出演するほか、2023年度前期NHK連続テレビ小説『らんまん』への出演が控える。

公式Twitter  @nkmrrh_official
公式Instagram  @__rihostagram__
公式サイト  https://www.amuse.co.jp/artist/A8551/index.html


【ドラマ情報①】

BSテレ東  毎週土曜深夜0:00~0:30
テレビ大阪  毎週土曜深夜1:00~1:30

真夜中ドラマ「高嶺のハナさん2」

第1弾で、両想いの高嶺華(泉里香)と弱木強(小越勇輝)は晴れてお付き合いを始めたものの、2人の恋愛レベルは小学6年生のまま進展しない。ハナを嫁にしたい部下・更田元気(猪塚健太)や、弱木を慕う天井苺(香音)も気が気でない。そんな時、淀屋橋うめ(中村里帆)と不動凪(小柳友)が商品企画部へ転属してくる。ハナの憧れの先輩で、密かにハナに想いを寄せる不動。弱木の同期でやたらと馴れ馴れしく商品企画部の人間関係をかき乱すうめ。二人の登場により、また新たに多角関係の恋愛模様が動き出す中、ハナと弱木がまさかの破局…!? 超絶エリートで完璧無双の美女がおりなす、赤面ギャップ満載の青春オフィス・ラブコメディ第2弾!

原作 「高嶺のハナさん」ムラタコウジ(日本文芸社「週刊漫画ゴラク」連載)
出演 泉里香 小越勇輝 香音 中村里帆 /小柳友 猪塚健太
監督  内藤瑛亮、高杉考宏、塚田芽来
脚本 岡庭ななみ、宮本勇人、渋谷英史
製作著作  「高嶺のハナさん2」製作委員会2022

公式サイト  https://www.bs-tvtokyo.co.jp/takanenohana2/
公式Twitter  @BS7ch_hanasan
公式Instagram  @bs7ch_hanasan
公式ブログ  https://ameblo.jp/bs7ch-hanasan/
公式TikTok  @bs7ch_hanasan


【ドラマ情報②】

2022年10月クールドラマ
ABCテレビ(関西) 毎週日曜よる11時55分
テレビ朝日(関東) 毎週土曜深夜2時30分
ABCテレビでの放送後 TVer / GYAO!にて見逃し配信&Huluにて見放題独占配信

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」

岡山県で活動するアイドルグループ「ChamJam(チャムジャム)」と、彼女たちを熱狂的に応援するオタクたちの姿を熱く、切なく、尊く描く、ドルオタ青春コメディ! “推し武道”の愛称で親しまれている原作は、2015年より「COMICリュウ」(徳間書店)にて連載されており、2020年1月にはアニメ化された人気作品。

原作 平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(COMICリュウWEB/徳間書店)
出演 えり / えりぴよ:松村沙友理 市井舞菜:伊礼姫奈 五十嵐れお:中村里帆 横田文:和田美羽 松山空音:MOMO 伯方眞妃:KANO 水守ゆめ莉:SOYO GUMI:寺本優佳 くまさ:ジャンボたかお 基:豊田裕大監督 大谷健太郎 北川瞳 高石明彦
監督 大谷健太郎 北川瞳 高石明彦
脚本 本山久美子
制作著作 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会・ABC

公式サイト https://www.asahi.co.jp/oshibudo/
公式Twitter  @oshibudo_abc
公式Instagram  @oshibudo_abc
公式TikTok  @dramal_abc


【ドラマ情報③】

2023年度前期

連続テレビ小説「らんまん」

江戸時代末期の1862年(文久2)3月、全国で尊王攘夷そんのうじょういの機運が高まるなか、坂本龍馬が土佐藩を脱藩── そのわずか1か月後、同じ土佐の地で酒造業を営む裕福な商家に待望の男の子が誕生する。のちの天才植物学者・槙野万太郎(まきの・まんたろう)である。
万太郎は、明るい性質だが、虚弱な子ども。なぜだか植物のことが好きで、集中すると周りのことも目に入らなくなってしまう。大人たちは不思議な子どもだと思っているが、母親の房子は、そんな万太郎に穏やかな愛情を注いでいた。しかし、万太郎が6歳のとき、房子が病気で死去。父親も早くに亡くしていた万太郎は、祖母タキの手で育てられることになる。
タキは、名家の跡取りとして立派な男子に育てようと、万太郎を藩校に入れる。最初は学校生活になじめなかった万太郎だが、植物の名前と挿絵の載った本を見つけ、「その本が読みたい」という思いから、熱心に勉強するようになる。
その後、万太郎は学業の面でメキメキと頭角を現し、英語・地理・物理・天文など西洋の学問を次々と吸収していく。やがて明治新政府のもと新たな学校制度が始まり、万太郎も小学校に通い始めるが、その教育レベルの低さに物足りなさを感じて自主退学。その後は家業の手伝いもそこそこに、大好きな植物採集に明け暮れる生活を送るようになる。
東京上野で開催される「内国勧業博覧会」をきっかけに万太郎は初めて上京。その旅のなかで憧れの博物学者たちと出会い、日本各地の貴重な植物や海外から来た珍しい植物を目の当たりにする。「いつか必ず日本の植物のすべてを明らかにしたい!」──万太郎の植物学への情熱に火が付いた。万太郎は、東京帝国大学植物学教室の門をたたき、助手として働くことになる。水を得た魚のように研究に没頭し、新種を次々と発見、学名をつけていく万太郎。しかし、その活躍に嫉妬する教授陣から嫌がらせを受けたり、学歴がないことを理由に十分な給金をもらえないなど、理不尽な目にも多く遭う。それでも、愛する植物のため、「日本独自の植物図鑑を編纂へんさんする」という夢のため、万太郎は情熱を失うことなく一途に突き進んでいく──。

【放送予定】2023年春
【作】長田育恵
【植物監修】田中伸幸
【制作統括】松川博敬
【プロデューサー】板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
【演出】渡邊良雄、津田温子、深川貴志 ほか

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