
10月16日(金)に全国公開の映画『わたしの知らない子どもたち』。戦後の日本を舞台に、危険な裏社会を生き抜くために男装する12歳の孤児の少女「茅野琴子」を演じた小八重葵美(こやえ・あみ)は、オーディションで約500人の中から、西川美和監督の目に留まった無二の存在。共演した二階堂ふみ、役所広司、田中裕子、岡田准一、吉田羊、坂東龍汰、竹野内豊、櫻井海音ら、豪華な俳優陣とも堂々と渡り歩き、作品中でも妙演を披露しています。そんな映画初主演にして、最高の環境下で「琴子」を演じた小八重葵美の素顔を、作品にかける思いとともに紹介していきます。
公開を控えた今、どのような心境ですか。
撮影が終わってから、あっという間だったなと感じています。去年の夏に撮影が終わって、「1年て、こんなにもあっという間に経つんだ」と。公開日もきっとすぐに来ちゃうと思いますが、みんなに作品を観てもらえるのは楽しみです。
公開後、こっそり劇場に観に行かれますか。
堂々と観に行こうと思います(笑)
今回の出演はオーディションで決まったそうですね。どのようなオーディションだったのでしょうか。
体育館のような場所でリレーをしたり、テントを組み立てたり、運動会みたいなことをやっていました。その後、お芝居をして、女の子は歌と朗読もやりました。遊ぶようなオーディションは初めてだったので、少しびっくりしましたが、とても楽しかったです。
オーディションを終えたとき、手応えはありましたか。
正直、オーディション直後はあまり自信はなかったです。歌も音程をちょっと外してしまったので、ダメかなと思っていたけど、まさか受かっていて。
監督からは、どんなところが良かったと聞いていますか。
歌と、あと目ヂカラだそうです。「私を撮って」という顔をしていたと、監督が言っていました。
オーディションの合格は、どなたから聞いたのですか。
母から聞きました。母が泣きながら電話をかけてきて、「葵美、よかった。主演だよ」って教えてくれて。信じられなかったけど、お芝居が好きなので、すごくうれしかったです。



台本を読んだ段階では、「茅野琴子」をどんな女の子だと捉えていましたか。
自分で髪を切ったり、男の子のふりをして生きていくこと決めたり、すごく強いし、行動力もある子です。撮影の時は「琴子」と同い年だったのですが、同い年とは思えないくらい勇気があって、かっこいいなと思っていました。
でも、負けず嫌いなところは私と似ている気がしたので、お芝居はしやすかったです。クランクアップするまでは、ずっと自分の中に「琴子」がいました。ちょっと言葉にするのは難しいのですが、普段から「琴子」の気持ちになって話すこともできるようになっていたので、お芝居もうまくできたのではと思います。
役のために実際に髪を切ったそうですね。初めて短くなった自分の髪を見て、どう思いましたか。
かっこいいなって思いました。
その髪型のまま学校へ通っていたのですか。
撮影を終えた夏休み明け、ちょっと恥ずかしかったので、帽子をかぶって学校へ行きました。
髪が短いと、洗うのも楽でしたか。
そうです。すごく楽で、すぐ乾くし、涼しいし。寝グセがついても全然気にならないので、楽でした(笑)


「琴子」は、戦前から戦中、戦後へと環境が変わる中で、見せる姿も印象も大きく変わっていきます。それぞれの場面において、どんなことを意識して演じられましたか。
最初の、まだおかっぱ姿のところは、オーディションのときから「もう少し幼くやってみて」と言われていたので、現場でもちょっとだけ幼く演じることを心がけました。
男の子のふりをして生きるようになってからは、スタッフさんに「姿勢を悪くするんだよ」、歩き方も「ちょっと悪い奴っぽく歩いてみて」など、男の子っぽく見せるコツをいろいろ教えてもらいました。女の子とバレないようにする役なので、そういった動きを常に意識していたんです。座るときはあぐらをかいたり、声のトーンは少しだけ低くしてみたり、細かく考えて演じていました。
通っている学校の男の子も参考にされましたか。
実は、あまり参考にしていなくて(笑)。スタッフさんに「俺」とか、言葉の使い方も教えてもらいました。
普段、お芝居をするときは、役にのめり込みやすい方ですか。
そうです。現場に入ってからは、特に気持ちが自然と切り替わります。別のお仕事でも、いつの間にか気持ちがその役に入っているので、お芝居がしやすいです。
西川美和監督は、どんな方でしたか。
すごく優しくて丁寧ですし、細かなところまで考えてくださっていました。定期的に「大丈夫?」「無理してない?」って声をかけてくださるんです。すごく好きな監督です。
監督とのやり取りで、印象に残っていることはありますか。
怒っていたり、悔しい気持ちのときでも、「表情にはあまり出ていないよ」と教えてもらいました。自分ではできていると思ったことでも、周りから見たら、そこまで顔に出ていないことがあったんです。「少し強く表情を出してみたら、もっとよくなると思う」と教えていただいて、すごく勉強になりました。これからも役に立つことなので、大事にしています。



経験豊かな多くの俳優の方と共演されて、どのようなことを感じましたか。
みなさん、目や表情だけで、どんな気持ちなのか読み取れるくらいすごいお芝居をされていました。自分もいつかそんなお芝居ができるようになりたいなと思いました。
共演の方との、印象に残っている思い出はありますか。
吉田羊さんと偶然、帰りの新幹線が一緒だったんです。新幹線が来るまで時間があったので、ご飯屋さんに連れていってもらい、焼き鳥やおそばをご馳走になりました。初めて俳優さんとご飯に行ったので、すごく良い思い出になりましたし、うれしかったです。
吉田さんとの会話で、覚えていることはありますか。
お芝居のことや、「性格も素直だね」とか、いっぱい褒めてもらいました。うれしかったです。
劇中では、ピアノやアコーディオンを演奏されています。もともと習っていたのでしょうか。
いえ、もともとは何も弾けなくて、ゼロから練習を始めました。ピアノは7ヶ月くらい、アコーディオンも3ヶ月くらい、毎日練習をしました。
楽器は得意だったのですか。
吹奏楽部でクラリネットを担当していたのですが、練習しても指が届かないこともあって、うまくできなかったんです。コンクールには出られたけど、最後の音しか吹かせてもらえませんでした。
今も吹奏楽部に入っているのですか。
いえ、中学校では剣道部に入りました。
お芝居にもつながりそうですね。
そうなんです。『キングダム』とか、戦うシーンのある作品にいつか出てみたいです。それに繋がったらとの思いで剣道も始めました(笑)
撮影から1年以上経った今も、ピアノを弾くことはありますか。
たまに弾いています。弾けなくなってはいないのですが、前よりも少し指がうまく動かせないので、少し悲しいです。



これから、どんな俳優になりたいですか。
何でもできる、すごい俳優になりたいです。お芝居はもちろん、音楽やアクションも。いろんなジャンルの映画やドラマにいっぱい出てみたいです。どんな役でもこなせるのはかっこいいと思うので、そういう俳優になりたいです。
本作で、特に注目して観てほしい場面はどこですか。
アコーディオンやピアノを弾くところは、すごく練習を頑張ったし、頑張って上手にできるようになったので、観てほしいです。
それと、あるシーンの「将吉」の表情を見てほしいです。「琴子」はすごく泣いているのに、「将吉」は優しいお兄ちゃんのような安心感のある顔でやさしい言葉をかけてくれます。誰が観ても泣けるシーンなので、絶対に見逃さないでほしいです。
もう一つ、最後に「琴子」が電車の窓から顔を出すときの表情も見てもらいたいです。
それでは映画を観てくれる方へメッセージをお願いします。
どの年代の方にも観てほしい作品です。私が通っていた小学校や中学校でも、あまり戦争の勉強をしていないんです。みんなも「戦争」を遠い存在として見ているようで、あまり身近なこととして考えていないような感じがします。私は以前までは、戦争についてあまり考えたことがありませんでした。
でも、この映画を観て、戦争のときにこういう思いをしていた人がいたんだとか、すごく大変な時代があったんだという現実を知ってほしいです。勉強にもなるし、考えさせられるので、ぜひ映画館で観てもらえるとうれしいです。

【プロフィール】
小八重葵美 Koyae Ami

小八重葵美(こやえ・あみ)。2013年5月28日生まれ。千葉県出身。身長:150cm。趣味:歌うこと・ドラマ鑑賞。ボックスコーポレーション所属。
2025年公開の映画『#真相をお話しします』(監督:豊島圭介)で俳優デビュー。重要な役どころである凛子役を演じ注目を集め、同年、短編映画 『Happy End of the World』(監:千原徹也)に出演。本作でキャリア初となる主演に抜擢された逸材。
公式サイト:http://www.box-corporation.com/ami_koyae
【出演情報】
2026年10月16日(金) 全国公開
映画『わたしの知らない⼦どもたち』
『すばらしき世界』『永い⾔い訳』の⻄川美和監督のオリジナル最新作。戦争で家族と⽇常を奪われた12 歳の少⼥・琴⼦(⼩⼋重葵美)は、⽣き延びるために⾃らの性別を隠し、“少年”として⽣きることを選んだ。進駐軍相⼿の慰安施設や路上売春が広がる時代の中で、少⼥であること⾃体が危険となる現実から逃れるための決断だった。⾳楽家の⽗(⽵野内豊)のもとで穏やかに暮らしていた琴⼦の⼈⽣は、敗戦によって⼀変し、「⾃分⾃⾝を⼿放す」という過酷な選択を迫られる。⼀⽅、かつて琴⼦が疎開した学校の教師・曽根(⼆階堂ふみ)もまた、戦時中は軍国主義教育に加担していた側だったが、敗戦によって信念も⽴場も失い、過去の責任と向き合いながら⽣きることを余儀なくされていた。加害と被害、そのどちらにも割り切れない現実の狭間で揺れ動きながら、それでも今⽇を⽣き延びようとする曽根。“少⼥”を棄てた琴⼦はどこへ向かうのか。そして曽根は、再び⼈として⽴ち上がることができるのか。戦争によって運命を⼤きく変えられた⼆⼈の、⽣と再⽣の物語。
<出演>
⼩⼋重葵美 ⼆階堂ふみ
羽⼭由⼀郎 ⼩林丞之介 岩⽥⿓⾨ 渋⾕そらじ 武内ひなた
櫻井海⾳ 花瀬琴⾳ ⽵野内豊
原案・脚本・監督 :⻄川美和
⾳楽:原摩利彦
撮影:笠松則通 照明:宗賢次郎 ⾳響:⽩取貢 特機:上野隆治 美術:三ツ松けいこ 装飾:須坂⽂昭
⾐裳デザイン:⼩川久美⼦ ⾐裳:岩﨑⽂男
ヘアメイクデザイン:酒井夢⽉ スクリプター:⽥⼝良⼦ 編集:菊池智美 ⾳響効果:北⽥雅也
キャスティング :⽥端利江 、⼭下葉⼦
助監督:中⾥洋⼀ 制作担当:⼭内遊 VFXスーパーバイザー:上⽥倫⼈、髙橋正紀 ⾳楽プロデューサー:杉⽥寿宏
ラインプロデューサー:横井義⼈
製作:紀伊宗之 プロデューサー:⼩出⼤樹、伊藤太⼀
製作・配給:K2 Pictures 共同製作:AOI Pro. 企画:分福 制作プロダクション:AOI Pro.
公式サイト:https://k2pic.com/film/wsk/
公式Instagram:@wsk_movie
公式X:@K2P_PR
