主⼈公の名⾔が共感の嵐を巻き起こす奇跡の漫画『ちひろさん』。今泉力哉監督により映画化された本作で、主人公「ちひろ」さん役の有村架純と共演し、高い演技力のもと演劇界で注目を集めるのは女優・豊嶋花。若干15歳にして存在感を放つ演技は、有村をはじめとする一線級の役者と対等に渡り合うほど。作品への見応えと没入感を視聴者に届けてくれる女優です。そんな若手の実力派女優筆頭とも言える彼女に、本作へ臨んだ気持ちやエピソードのほか、出演中のNHK大河ドラマ「どうする家康」やW主演作映画『冬子の夏』について、見どころを尋ねてみました。

Photo:安田まどか
Style:岡本純子
Hair & Make up:石川奈緒記
Text:kukka編集部

話題の原作でもあり、また有村さんをはじめ共演される方が早々たる顔ぶれです。出演が決まった時にはどのような気持ちでしたか。

「オカジ」を演じることが決まった時は、ものすごく嬉しかったのを覚えています。原作のある作品は、常にプレッシャーがあるものですが、私がプレッシャーに燃えるタイプなんです。なので、「よし、やるぞ」という気持ちで臨みました(笑)

監督の今泉さんからは「オカジ」役をについて、要望はあったのでしょうか。

原作をかなり読み込んで、自分で思い描いてから撮影に臨もうと考えていました。監督からは役柄自体への要望はなく、役については任せて頂いたのが嬉しかったです。ただ「ちひろ」さんや「べっちん」との出会いのシーンは、「オカジ」自身が変わるきっかけとなることもあり、監督としっかりと話し合って作り上げました。

具体的にはどのような話し合いを監督とされたのでしょうか。

芝居に対する細かな指示ではなく、こういうシーンにして欲しいといった仕上がりのイメージついて、監督からお話がありました。

「オカジ」役を演じるにあたり、一番意識されたことは何でしょうか。

「ちひろ」さんや「マコト」と一緒にいる時の方が素の自分でいられるのに対し、家族や学校での「オカジ」はどこか取り繕っているので、そこをきちんと表現できたらと思っていました。

共演された有村さんの印象を聞かせてください。

今作で初めてご一緒させて頂いたので、はじめは私がとても緊張していました。そのせいもあって、あまり気さくに話をされるかたではないのかも、と勝手に想像していましたがが、話してみたらすごく優しい方で、しかも素敵な方でした。女優としても女性としても尊敬できる女優さんです。

大河ドラマ『どうする家康』でも共演されていますね。

はい。撮影の現場でお会いした時に「こんなにすぐまた共演できて嬉しい」と言ってくださり、私もすごく嬉しかったです!

撮影は映画の舞台同様、港町でもある焼津での撮影でした。撮影の現場はどのような雰囲気でしたか。

みなさんが温かくて、とにかく居心地の良い現場でした。ほんわかしている明るい雰囲気です(笑)。撮影時はまだ中学3年生で、しかも初めて一人で泊まり込みでの撮影だったため、正直プレッシャーがありました。でも実際には、みなさんのおかげでプレッシャーをあまり感じずに、楽しく撮影を終えることができました。

本作では「ちひろ」さんの言葉をはじめ、多くの胸に刺さる名言が散りばめられていました。豊嶋さんが印象的だった言葉を教えてください。

部屋に引き籠った「ちひろ」さんに、リリー・フランキーさん演じる「内海」が電話で伝えたセリフで “人の体は浮くようにできているから”という言葉です。 “人はどんなに悲しいことや辛いことがあっても、いつかは光が見えて来るものだよ”と言われている気がして、すっごく良い言葉だなと思いました♪

劇中「オカジ」と家族との関係を象徴する場面として、食事のシーンがありました。豊嶋さんご自身は「母の味」で思い出すのは、どんな料理でしょうか。

私にとっての“母の味”は、ビーフシチューです。母の作るビーフシチューは凄く美味しいいんです♡ あと祖母が作る、手作り餃子も大好きです! ほかの餃子とは比べられないほど美味しいんです。久しぶりに家に帰った時は、必ず食べています♪

本作への出演で、ご自身が女優として貴重な経験を積めたと感じることはどんなことでしょうか。

「ちひろ」さんと海辺で並んで会話をするシーンで、有村さんにジッと目を見つめられた時の威圧感が思い出されます。単に怖いとも違う、ものすごくパワーを感じる威圧感で、その演技ができることが凄いと感じたんです。私もいつかそんな有村さんのような演技がしたいと思いました。

ぜひ観て欲しいシーンはどちらでしょうか。

「マコト」の家で焼きそばを食べる場面で、気持ちの堤防が決壊してしまうシーンです。「オカジ」が抱えたいたいろいろな思いが、一気に涙とともに溢れ出るシーンに私自身、力を入れたシーンでもあるので、ぜひ皆さんにも観て欲しいと思います

話題作に次々と出演されていますが、自身が考える“強み”や“個性”はどのような点だと捉えていますでしょうか。

実はずっと自分の「声」がコンプレックスでした。少し低くてクセのある声なんです。ですが最近は「声が好き」と言ってくださる方もいて。低い声だと演技がよりリアルに感じてもらえているのではと、思っています。そのせいもあって、最近はこの声で良かったなと思えるようになりました。

ーーーーーーーーー

出演するNHK大河ドラマ『どうする家康』について聞かせてください。侍女「たね」として、どのような気持ちで撮影に臨まれたのでしょうか。

大河ドラマに出演する、ことをかなり意識していたため、とても緊張して撮影に臨みました。「たね」は身分によってはすぐに打ち首になってしまうような物おじしない言葉遣いや芯の強さを持っています。

長澤樹さんとのW主演でも話題の映画『冬子の夏』について、お話させてください。本作の見どころを教えてください。

「ごく普通の青春短編映画だと思わないで欲しい」映画です!(笑)。かなり独特な作品で、見るときに心構えをしてから観て欲しいですね。ぜひ映画の世界観に引き込まれて頂きたいです。

「冬子」を演じられた率直な印象を聞かせてください。

今までで一番早口な役でした。監督ともいろいろと話をして、とにかくリアルさを追求しようとなり、その結果ものすごく早口な芝居を試みました。

最近のプライベートについても聞かせてください。時間ができると何をしていますか。

最近は、よく友だちと電話をしています。仕事のことだったり、今日あった何気ないことだったり。あとは、UVレジンでアクセサリー作りをしています。透明の液体を型に入れてUVライトで固めるもので、結構ハマっています。

では、最後に映画『ちひろさん』を観てくれる方にメッセージをお願いします。

「ちひろ」さんの存在がまわりを自然に巻き込み、人々をどんどんポジティブに変えてくれる作品です。また人間的で、美しく、そして引き込まれていく映画でもあります。自宅でNetflix、迫力のある映画館、みなさんお好きな楽しみかたでぜひご覧ください。


【映画情報】

2023 年2 月23 日(木・祝)

Netflix 世界配信&全国劇場にて公開

NETFLIX映画『ちひろさん』

⽉刊漫画誌『Eleganceイブ』(秋⽥書店刊)で連載された漫画『ちひろさん』を原作とした本作。元⾵俗嬢の主⼈公「ちひろ」が、とある海辺の町の⼩さなお弁当屋さんで働きながら、⼼に傷や悩みを抱えて上⼿く⽣きることができない⼈々と交流し、彼⼥の⾔葉や⾏動がそれぞれの⽣き⽅に影響を与えていく物語。⼼のままに⽣きることの⼤切さ、そして孤独と向き合うことの尊さを描き、⼼が浄化されるまさに現代に⽣きる私たちの処⽅箋となるような⼈間ドラマ。

<出演>
有村架純
豊嶋花 嶋⽥鉄太 van
若葉⻯也 佐久間由⾐ ⻑澤樹 市川実和⼦
鈴⽊慶⼀ 根岸季⾐ 平⽥満
リリー・フランキー ⾵吹ジュン

原作:安田弘之「ちひろさん」(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
製作:Netflix、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
制作プロダクション:アスミック・エース、デジタル・フロンティア

公式サイト:https://chihiro-san.asmik-ace.co.jp/

>>Netflixはこちらへ


【映画情報】

映画『冬子の夏』

伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2020 短編の部 大賞受賞作品

群馬県中之条町を舞台に、自然豊かな環境に囲まれ、伸び伸びと、けれど繊細に高校3年生の夏を過ごす二人の姿を描く青春物語。高校最後の夏、進路を決められぬまま、ダラダラと過ごす主人公「冬子」と唯一の理解者である親友「ノエル」。大きな岐路を迎えた二人の心境を描いた感動作。

<出演>
豊嶋花 長澤樹
関太(タイムマシーン3号)

脚本:煙山夏美 監督:金川慎一郎 撮影:笠松則通 照明:岩下和裕 助監督:鈴木雄大 録音:佐藤 悠 音楽:福島 節

公式Twitter:@huyukononatsu


【プロフィール】

豊嶋 花 Hana Toyoshima

豊嶋花(とよしま・はな)。2007年3月27日生まれ。東京都出身。158cm。趣味:絵をかくこと、写真撮影、ゲーム。特技:ダンス。スターダストプロモーション所属。
2021年に放送された「大豆田とわ子と三人の元夫」では、大豆田唄を演じ一躍注目を集める。その後、ドラマ「教祖のムスメ」「みなと商事コインランドリー」「祈りのカルテ~研修医の謎解き診察記録~」などに出演。フジテレビ「第34回フジテレビヤングシナリオ大賞 瑠璃も玻璃も照らせば光る」ではドラマ初主演を務める。放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」に侍女「たね」役で出演のほか、公開中のNetflix映画『ちひろさん』に「瀬尾久仁子(オカジ)」役で出演。

公式Instagram:@hanatoyoshima_official

公式Twitter:@toyoshima_staff

公式サイト:https://www.stardust.co.jp/talent/section1/toyoshimahana/

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