西加奈子原作でふくだももこ監督による映画『炎上する君』が、8月4日(金)に公開。現実に絶望した2人の女性が、横行する容姿や恋愛経験へのからかい、無自覚なレッテル貼りに憤りながらも奇怪な男を探す姿を描く本作品。梨田と浜中を演じた、うらじぬの、ファーストサマーユイカとも一線を画し、本作品で高い演技力を放っているのがふくだ作品に欠かせない女優の中井友望だ。彼女が“自信作”と言い切るほど、作品に関わる人たちの映画愛、演技愛が表現されています。そんな充実の作品を演じ切った女優・中井友望に映画のこと、最近のニュース、いろいろたくさん尋ねてみました。愛すべき彼女のプライベートもユニークさに溢れています!
Photo:望月宏樹
Style:粟野多美子
Hair & Make up :横山雷志郎
Text:kukka編集部
これまでにもふくだももこ監督とご一緒されていますが、監督の印象を聞かせてください。
今は随分と仲良くさせていただいているので、印象というか感情として、すごく大好きな人です。初めてお会いしたのが19歳か20歳の頃なんですが、ちょうど私がいろいろと悩みを抱えている時だったんです。そんな時にふくださんは、すごく寄り添ってくれるというか、愛のある言葉を掛けていただいた記憶があります。こんな大人の方もいるんだなと実感したほど、助けられた存在でした。映画『ずっと独身でいるつもり?』や初舞台の「夜だけがともだち」を経て、3回目となる今回の作品でまた一緒にお仕事ができ、監督と次第に距離感も近くなって来たことがすごく嬉しいです。
現在31歳のふくだ監督は、中井さんと出会った頃はまだ20代でお姉さんな年齢でしたよね。
ふくださんは、あまり何歳とか年齢を考えない人だなと思っています。年上だとか年下だとか、相手にあまり考えさせない方で、度量が大きい方だと思っています。
監督から撮影中にかけてもらった言葉で、印象に残っている言葉はありますか。
役について、こうして欲しいとかはあまり話をしていないんです。ただ最初の本読みをしたその日、後になって連絡が来て「めっちゃ、(昔よりも)良くなっていたよ」というメッセージをもらったんです。その一言だけだったのですが、とても嬉しくて。「思っていたもので良かったんだ」と思えましたし、嬉しかったのを覚えています。
そういったストレートな気持ちを中井さんにかけてくれたんですね。
単に優しいとかではなくて、言いたいことをすぐに伝えてくれる。それが優しさというよりは、ふくださんのカッコ良さなんだと思っています。
共演者の中では、うらじぬのさんやファーストサマーウイカさんとご一緒することが多かったのでしょうか。
そうですね。初めてのあいさつの時から、もうすでに梨田と浜中役の格好をされていて、「本当に梨田と浜中がいる!」と思って感激でした(笑)。うらじさんは、役を演じている時はすごく力強くパワフルなんですが、普段のうらじさんはとても穏やかなんです。どっちも梨田だし、どっちもうらじさんなのに、そのギャップを目の当たりにして、すごく大きな人なんだろうなと、初めてのご挨拶の時に思いました。
中井さんが演じられた「トモ」役について、どのようなイメージをもって演じられたのでしょうか。
あまり考え過ぎず、相手が話す言葉や雰囲気を感じ取って、言葉を発するように心掛けました。その時に、どう傷つくのか、どう行動するのか、どう思いどう感じるのかとか。最後は、梨田の一言に救われるんですが、人の言葉を受け取るための心を、すごくまっさらな気持ちのままでいようと意識していました。
撮影中のエピソードがあれば、教えてください。
ロケ地が高円寺だったんですが、以前に近くに住んでいたことがあったので、撮影中は少し懐かしく感じていました。隣りの阿佐ヶ谷でアルバイトをしていたこともあるんです(笑)。馴染みのある街での撮影でした。
そうなんですね。駅前の焼き鳥屋さん「大将」にも行ったことがあるんでしょうか(笑)
はい、あります(笑)
さすがですね(笑)。中井さんはもちろん、原作の西加奈子さん、監督のふくだももこさん、浜中役のファーストサマーウイカさん、みなさん大阪の出身ですね。チーム大阪とも言えるスタッフ陣ですが、撮影現場では、雰囲気なども含めて一体感みたいなものはあったのでしょうか。
大阪に限らずなのかも知れませんが、同じ出身地の人がいるってなんかすごく嬉しいですよね。親近感も湧きますし。なかでも大阪はそれが強い土地ではないかなと思います。
そんな中井さんに、大阪に行ったらぜひというものを教えてください。
東京ほど人が多くないのに、どの街でもいろいろ揃っていて遊べるので、梅田や難波だけでなく、足を運んでもらっても楽しめると思います。食べ物も粉もののイメージがあると思うんですが、イタリアンも美味しくて値段も手ごろなので味わってほしいですね。
前回、映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』のインタビューで「今年は寄席に行ってみたい」と話をしていた中井さんですが、あれから寄席には行かれたのでしょうか。
>>以前の記事はこちら
はい、行きました。2回行きました(笑)
すごい、行かれたんですね(笑)。どちらの寄席に行かれたのでしょうか。
新宿にある「新宿末廣亭」です。初めて行ったのですが、めっちゃ面白くて(笑)。すぐにハマって、もう一回行きました。
早速、ハマったんですね。
はい。ただ4時間くらいの演目になるんですけど、ずっと座っているので腰が痛くて。それだけが悩みです(笑)
もうすでにお気に入りの落語家さんはいらっしゃるんですか。
行った寄席の落語を見て、今度は独演会にも行きたいなと思った春風亭百栄さんと、ちょうど観に行った時に関西から来られていた上方噺家の桂二葉さんがすごく面白かったです。
この夏、もしくは今後計画していること、何か予定していることはありますか。
この先、2年くらいのうちに、バンジージャンプは飛んでおきたいと思います(笑)
2年とは言わずに、近々挑戦できるといいですね。
ジェットコースターが苦手なんです。でもバンジージャンプはもしかしたらイケるんじゃないかと思って、実際にイケるかどうかを確認したいんです。ジェットコースターってこうじゃないですか(ジェットコースターの動きを真似ながら)、でもバンジージャンプって真っ逆さまに落ちるじゃないですか。だから行けるんじゃないかと思って。
ジェットコースターは無理だけど、バンジージャンプならイケると思えるところが中井さんぽくて良いですね(笑)
次回、お会いできる時にはバンジージャンプを飛んだかどうか尋ねてください(笑)
はい、では次回のインタビューを楽しみにしていますね(笑)
また、『炎上する君』は西加奈子さん原作作品ですが、読書をされる中井さんは西さんの本、よく読まれるのでしょうか。
西さんの本は大好きで、本を読むようになったきっかけも西さんの小説でした。だからほとんどの作品を読んだことがあります。
ではそんな中井さんに、西加奈子作品のおすすめを教えてもらえますでしょうか。
3冊あるんですけど、一番好きなのは『きりこについて』です。あとは『うつくしい人』と『ふくわらい』です。この3作品が特に大好きなんです。最近出されたエッセイで『くもをさがす』もすぐに読んで、いろいろと考えさせられました。
映画も好きな中井さん。最近観た映画でおすすめ作品があれば教えてください。
先日観たばかりなのですが『ぼくたちの哲学教室』が良かったです。あとスパイダーマンのアニメもおすすめです(笑)
それでは最後に『炎上する君』を観てくれる方々にメッセージをお願いします。
とにかくまずは映画を観て欲しいです。観ることで映画が伝えたいことも、見えてくると思うんです。作品を観て、客観的に感じて考えてもらえたらと思います。
<衣装>
ベルト:yae
スカート:ParAvion
靴:Camper
その他:スタイリスト私物
<問い合わせ先>
アンティローザ https://auntierosa.com/
株式会社カンペールジャパン 03-5412-1844
【映画情報】
公開日:8月4日(金) 渋⾕シネクイント
映画『炎上する君』
西加奈子の傑作短編小説をふくだももこ監督が、うらじぬの×ファーストサマーウイカで映画化。何度も現実に絶望する二人の女性が世にも奇っ怪な「炎上する男」を探すシスターフッドムービー。
(あらすじ)
高円寺の高架下。アップテンポなダンスチューンに合わせ、おもむろに脇毛を見せながら踊り狂う二人の女性・梨田(うらじぬの)と浜中(ファーストサマーウイカ)。彼女たちは唯一無二の親友である。高円寺の銭湯。「50代の男性と14歳の少女の真剣な恋愛」「政治家の女性蔑視発言」「医学部での女性受験者の一律減点」など、日々起こる女性への抑圧に二人は傷付き、憤る。ひょんなことから、二人は脇毛をたくわえ、ダンスをすることで自分たちを解放するようになる。誰のためでもない自分のために脇毛を生やし、晒す二人。そんなある日、高円寺周辺ばかりに出没する「炎上する男」の噂を聞きつけた浜中。噂はどうやら真実味を帯びており、二人は一度でも目にしたいと好奇心を頼りに探し回る。ぼうぼうと足が燃える男。その男は、一体何者なのだろうか―――。
<出演>
うらじぬの ファーストサマーウイカ
齊藤広大 中井友望 南久松真奈
大下ヒロト 中山求一郎 當山美智子
大中喜裕 千綿勇平 桜井鉄也 夏 定森安南 山本彩実
影山徹 あやかんぬ 国海伸彦 清水てっぺい 宗綱弟 山田果歩
林周雅 服部大成 坂口彩夏 岡田優 財田ありさ 野田佳代 湊さやか
<スタッフ>
監督・脚本:ふくだももこ
原作:⻄加奈⼦「炎上する君」(⾓川⽂庫/KADOKAWA)
劇中歌:ゆっきゅん『DIVA ME』 エンディング曲:ゆっきゅん『NG』
⾳楽:池永正⼆(あらかじめ決められた恋⼈たちへ)
撮影:平⾒優⼦ 照明:加藤⼤輝 録⾳:原川慎平 美術:⿊⽻陽⼦ ⼩道具:廣川千都
編集:⼭本彩加 スタイリスト:江森明⽇佳 ヘアメイク:花村枝美 ⾳響効果:井上奈津⼦
助監督:⼟橋沙由⾥ 制作担当:⽐良岡弘雅 監督補:坂⼝彩夏 スチール:⽔津惣⼀郎
エグゼクティブプロデューサー:本間憲
企画・プロデュース:菊地陽介 プロデューサー:柴原祐⼀ ラインプロデューサー:濱松洋⼀
企画協⼒:⼩林順 ⾵間智恵⼦(株式会社KADOKAWA)
宣伝:平井万⾥⼦、⽮部紗耶⾹ 宣伝デザイン:⾼垣美⽉
制作プロダクション:ダブ 製作:レプロエンタテインメント
配給:レプロエンタテインメント 配給協⼒:インターフィルム
©LesPros entertainment 2022年/⽇本/42分/カラー/5.1ch
X(旧Twitter):https://twitter.com/Enjyo_Movie
Instagram:https://www.instagram.com/You_Are_Lit_Movie/
【プロフィール】
中井友望 Tomo Nakai
中井友望(なかい・とも)。2000年1月6日生まれ。大阪府出身。B型。テンカラット所属。
2018年に開催された「ミスiD 2019」でグランプリを受賞し芸能活動を開始。2020年にテレビドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」(NTV)で俳優としてのキャリアをスタート、2021年には映画『かそけきサンカヨウ』(今泉力哉監督)、『シノノメ色の週末』(穐山茉由監督)、『ずっと独身でいるつもり?』(ふくだももこ監督)に出演し話題を呼び、21年から22年にかけては近年多くの映画監督や俳優を輩出してきた音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB[JOINT]2021-2022」のイメージモデルを務めた。2023年は2月に『少女は卒業しない』(中川駿監督)、3月に『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(阪元裕吾監督)が公開され、9月には第15回下北沢映画祭のコンペティションにノミネートの短編映画「LIKE THAT OLD MAN」(こささりょうま監督)の上映、秋には初主演映画『サーチライト-遊星散歩-』(平波亘監督)の公開が控えている。
公式Instagram:@youwang16
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中井友望 スタッフX(旧Twitter):@tomo_nakai_tc
https://twitter.com/tomo_nakai_tc
公式サイト:https://twitter.com/tomo_nakai_tc