10月14日（土）から公開される映画『サーチライト-遊星散歩-』で、主人公の高校生・「内田果歩」役を演じた女優・中井友望。監督・ふくだももこ作品にも数多く出演し、また今作でも話題の脚本家・小野周子氏が自身の脚本を彼女でイメージして書き直すほどの寵愛ぶりを見せる。映像・演劇界が注目するクリエーターたちが放って置かない存在感は、本作を観れば納得するはず。単独としては初となる主演作品『サーチライト-遊星散歩-』はまさに彼女を代表する作品になることでしょう。インタビューでは、映画撮影のエピソードはもちろん、マイペースで愛らしいプライベートについても聞かせてもらいました。ますます露出高まる彼女のこれからに注目です！
Photo：望月宏樹
Style：粟野多美子
Hair & Make up ：SHIO
Text：kukka編集部
本作では、単独として初めての主演作になりますが、どのような経緯で出演が決まったのでしょうか。
脚本を読んだプロデューサーのご提案に脚本家の小野さんが賛同してくださり、私を当て書きで改稿してくださったんです。小野さんから私で作品を作りたい、とお手紙までいただいて。
それは嬉しいオファーのされた方ですね。
はい、すごく嬉しかったです。でも、あとで脚本を読んでみたときに、「私ってやっぱりこういうイメージなのかな」とも思いました（笑）。嬉しくもあり、客観的に見るとこう見えているのかなと、思ったことを覚えています。ただ、そういう私自身も、この作品で主人公を演じることが想像できましたし、内容としても純粋に演じてみたいと思えました。
公開を控えて、現在の心境はどのような感じでしょうか。
改めて作品を見直したのですが、10代の頃の自分を見ているような気持ちになりました。ドキュメンタリーで実際に自分の10代を撮られているような……。公開されてお客さんに見てもらえるんだという実感が、まだ湧いていない気持ちです。でもその分、本当に公開されるのが楽しみでもあります。
監督からは何か要望などはあったのでしょうか。
細かな要望などはなくて、脚本を読んで、その感じたままの「果歩」を演じさせてもらいました。演じている時でも、視界の外れでなんとなくカメラが私を撮っているような感覚でいましたし、監督との距離感も同じような感覚で撮影をしていました。ただ、いま思えばどこかで私のことを上手くコントロールしてくれていたのかもしれないですね。
主演だからといった、緊張感や意気込み、気負いなどはあったのでしょうか。
それがまったく無くて（笑）。なので、初めての現場入りから撮影の最中も、ずっとリラックスしながら過ごすことができました。演じる上で、重荷になるような不安や緊張は全然なかったですね。緊張はあっても、心地よい緊張だけがあったと思います。
主人公「内田果歩」と中井さん、何か共通する部分はありますか。
言葉だったり、人との関わり方だったり、もちろん全部ではないのですが、私にもこういう時期はあったなと感じました。高校生ならではのモヤモヤするような感覚は、こんな感じだったかもと思えるシーンもありました。人に来られると身構えてしまい引いてしまうところだったり、中高生の頃を思い出したりして。23歳になった今、客観的にそういった自分を振り返られるようになりました。
改めて作品を見直されたとのことですが、ここはよく「果歩」を演じられたと思えるのは、どのシーンだったでしょうか。
感情を爆発させるようなシーンもあるのですが、何も喋っていない、セリフがないところでの目線などは、見返してみて、すごく私自身がイメージした「果歩」っぽい感じが表現できていたと思います。
確かに「果歩」の視線や仕草、言葉を発していないシーンの雰囲気は「果歩」と中井さんを重ね合わせて観てしまいますね。中井さんの実話じゃないかと思わせてくれるほど、引き込まれるような演技だったと感じました。
ありがとうございます。あと見直してみて、髪型のせいもあるのでしょうけど、自分のことをすごく子供っぽいなと、我ながら思いました（笑）。撮影をしたのは1年半前ほど前なのに。
本当にそうですね。20歳過ぎとは思えないほど、リアル高校生に見えました（笑）。
一緒に共演された上野輝之を演じた山脇辰哉さん、母親の貴子を演じた安藤聖さんの印象を聞かせてください。
山脇さんは、撮影に入る前に出演されている舞台を観に行ったり、映像作品を見て、すごく個性的な役を演じられているイメージでした。実際、「上野」くんを演じていても、言葉の発し方にコメディアンぽい緩さがありながらも、全体を通してみると、演じる人のカッコ悪い部分やダメな部分も、きちんと表現できる役者さんだなと感じていました。特にがむしゃらな青年や人間臭い役がよく似合いそうな印象です。もがきまくったり、空回ったりが似合うところがすごく良いなと思っていました。
安藤さんはどのような印象でしたか。
安藤さんは、普段からすごく大人な女性です（笑）。でも病気を抱えた母親役のお芝居になると、そんなことはないはずなのに、急に痩せて小さくなったと思わせるほど、切り替えて表現できるのがすごいなと思っていました。
今回初の単独主演作品を演じられて、公開を前にして、やってみて良かったと実感していることは何でしょうか。
考えて演じるより、先に体が動くことが多くて、感情とか……。これがお芝居なのかなと知ることができたのかも知れません。撮影現場に対する見方も自分の中で何かが変わった気がしています。この映画以降、ほかの作品の撮影現場でも、変な緊張を持ち込むことがなくなった気がします。自由に居ていいことに気づいて、変に気負うこともなく、きちんと作品そのものとより向き合えるようになった気がします。
未来を照らす光の隠喩として、作品名に「サーチライト」が使われています。普段、中井さんが悩んでいる時に、解決する方法として採り入れていることはありますか。
すぐに解決しようとしないことですね。無理やり解決させようとするんじゃなくて、ケガではないですけど、貼った絆創膏が自然に剥がれやすくなるように、自然治癒がいいと思います。あと、その時にどう思って感じているか、メモを取るようにしています。文字に書き出すことで、何となくですが気持ちの整理がつくような気がするんです。あとから読み返すと、こんな時はこんな風なことを考えていたんだと思いますね。
では、その中井メモを生かした、エッセイのような読み物を書ける機会があるといいですね。
そ、そんな人に見せられるようなものではありません！（笑）
でも中井さんはよく本を読まれているから、いつか中井さんの書かれた文章を読んでみたいですね。
そうですね。いつか書いてみたいですね♪
ぜひ。いつかを楽しみにしています！
中井さんのプライベートについても聞かせてください。本をよく読まれている中井さんですが、普段聴く音楽はどんな曲でしょうか。
好きなのは「Mr.Children」でずっと聴き続けています。あとムードに飲まれやすい性格なので（笑）、本を読んでいる時は「読書のための音楽」、散歩をしている時は「散歩のための音楽」、日曜は「日曜日の朝の音楽」とか、そういったサブスクにあるおすすめで出てくる音楽をよく聴いています。
「Mr.Children」もいつか一緒にお仕事ができるといいですね。PVとか依頼とか。
ですね（笑）。出演する作品の主題歌とかPVとか♪
前回の取材から夏を経て、この夏の思い出は何かできましたか。
この夏はスイカをめっちゃ食べました（笑）
どなたかに頂いたりする機会があったのですか。それともご自身で買われたりしたのですか。
自分で買っていました。すごくスイカが好きで、7月と8月はほぼ毎日スイカを食べていました♪
（笑）。どんなスイカを食べていたんですか。
8分の１にカットされたスイカをひたすら食べていました。それが夏の一番の思い出です（笑）
（笑）。主演も演じる23歳の女優さんの夏一番の思い出が、毎日スイカを食べていたことで問題ないか、記事にする前に事務所に確認させてください（笑）
（笑）。あと、今度の週末に家の近くでお祭りがあるので、それに参加しようと思っています。東京に来てからお祭りに行ったことがなかったんです。コロナ禍とかもあって、何年振りかでお祭りに行く予定です。
いいですね。それで夏の最後に思い出を作られるんですね。
それでは、最後に本作の公開を待っている方々に中井さんからメッセージをお願いします。
「果歩」のような女の子がいて、こういう物語があることを多くの方に知ってほしいです。初めての単独主演作品でもあるので、一人でも多くの方にぜひ劇場で観てほしいと思っています。また観に行かれたみなさんの感想も聞かせてほしいです。
【映画情報】
公開日：10月14日（土）より K’s cinema ほか全国順次公開
映画『サーチライト-遊星散歩-』
若年性認知症を発症した母親の世話をしていた父親が他界し、一人で母の面倒を背負い込んでしまう主人公の内田果歩。父が生きていた頃には、想像もしてないかった絶望の日々…。
友達や学校の先生にも、困窮した状況を相談できない果歩。
ある日、学校のトイレットペーパーを大量に持ち帰ろうとしていたところを同級生の上野輝之に見つかってしまう。 5 人兄弟の大家族で家計を支える為に新聞配達するほど、余裕のない生活を送っていた輝之は、同じように貧困で苦しんでいそうな果歩が気になりはじめる。
輝之は果歩と仲良くなろうと試みるも、心に余裕がない果歩には鬱陶しく感じられる。 そんな中、果歩は学校の先輩が「ＪＫ散歩」をしていることを知る。
生活費も底をつき、母を守る為に、果歩は禁断の「ＪＫ散歩」の扉を開いてしまう…。
＜出演＞
中井友望
山脇辰哉、合田口洸、都丸紗也華、西本まりん、詩野、安楽涼、水間ロン、大沢真一郎、橋野純平
安藤聖
山中崇
＜スタッフ＞
監督：平波亘
音楽・主題歌：合田口洸、Joseph Gen|
企画・脚本：小野周子
ラインプロデューサー：石川真吾 撮影：関将史／録音：篠崎有矢／美術：岩崎未来／スタイリスト：小宮山芽以／ヘアメイク：河本花葉／助監督：工 藤渉／編集：村松正浩／VFX：萩原嘉人／スチール：柴崎まどか
企画協力：直井卓俊／配給：SPOTTED
PRODUCTIONS／制作：800 LIES PRODUCTION
2022/93 分/ビスタ/カラー/5.1ch
©2023 「サーチライト-遊星散歩-」製作委員会
公式x
https://twitter.com/searchlight_DM7
公式サイト
https://searchlight-movie.com/
【プロフィール】
中井友望 Tomo Nakai
中井友望（なかい・とも）。2000年1月6日生まれ。大阪出身。テンカラット所属。オーディションプロジェクト「ミスiD 2019」で、3500名の中からグランプリを受賞。
2020年、TVドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」（日本テレビ）でドラマ初出演。主人公の初恋の相手を好演し、一躍注目を集める。 主な出演作として、映画『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』(2020年／齊藤工総監督・岩切一空監督)、『かそけきサンカヨウ』（2021年／今泉力哉監督）、 『シノノメ色の週末』（2021年／穐山茉由監督）、『ずっと独身でいるつもり？』（2021年／ふくだももこ監督）、『少女は卒業しない』（2023年／中川駿監督）、 『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』（2023年／阪元裕吾監督）、『炎上する君』（23／ふくだももこ監督）などがある。 また、舞台やアーティストのミュージックビデオにも多数出演し、音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB [JOINT] 2021-2022」のイメージキャラクターも務めた。 第15回下北沢映画祭では短編映画「LIKE THAT OLD MAN」（こささりょうま監督）が上映され多数の賞を受賞。ドラマ「君には届かない。」（TBS）、「OZU～小津安二郎が描いた物語～」第3話『非常線の女』（WOWOW）など出演作が続き、10月14日公開の映画『サーチライト-遊星散歩-』（平波亘監督）では初の単独主演を演じる。
公式Instagram：@youwang16
中井友望 スタッフX（旧Twitter）：@tomo_nakai_tc
公式サイト https://twitter.com/tomo_nakai_tc
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