
20代最後の歳に発行した山谷花純の写真集『遠距離、現在此。』(読み:えんきょり、げんざいち)。2008年に俳優デビューを果たし、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」「鎌倉殿の13人」連続テレビ小説「らんまん」など数々の話題作に出演してきた彼女。30代を目前に控えた彼女の“今”を切り取った写真集です。インタビューでは、小豆島での撮影エリソード、俳優としての想いなどを語ってもらいました。写真集発行を機に、俳優として更なる飛躍を期待させる山谷花純さんに注目です!
写真集を出すことになった経緯を教えてください。
20代最後の年に、写真集を出せたらいいなと思っていました。実際には2年ほど前からマネージャーさんが準備をしてくださっていて、今回のお話につながりました。
写真集の撮影ロケ地が小豆島ですが、どのような理由で決まったのでしょうか。
小学6年生の時に、初めて親元を離れて地方ロケに行ったのが小豆島だったんです。ホームシックになるのかなと思っていたのですが、同年代の子たちやスタッフさんたちと過ごす時間がすごく楽しくて、逆に帰る時の方が悲しかった思い出があります(笑)
小豆島を訪れたのは、それ以来でしょうか。
はい、それ以来です。大人になって初めて訪れました。16、17年ぶりです(笑)
今回、小豆島を訪れてみて、印象に何か変化はありましたか。
昔よりも、すごく綺麗になっていました。昔ながらの建物は減っていましたが、エンジェルロードなどの自然の景色は変わっていなくて、街並みは洗練され、発展していたのが印象的でした。当時は小学生だったので、一人でご飯を食べに行くことはなかったのですが、今回訪れてみて、「小豆島ってこんなにも飲食店があるんだ」と気付かされました。


撮影はいつ頃に行ったのでしょうか。
今年の4月前半に行きました。1日目だけは見事に晴れてくれて、お天気には恵まれたのですが、体感としてはまだ少し寒かったです(笑)。写真を見ると暖かそうなんですけどね。でも、雲一つない空の下で撮影ができました。
今回の撮影では、山谷さん自身の要望はあったのでしょうか。
撮影前は、「人から見た今の自分を記録したい」と考えていました。信頼しているスタイリストさんとヘアメイクさんにお任せしていたのですが、撮り終えてからは、本の構成や写真のセレクト、インタビュー記事の言葉の修正など、自分から率先して関わるようにしました。
その中でも、特に山谷さんがこだわったのはどういったところだったのでしょうか。
普段は女優の仕事をしているので、あまり肌を露出する機会がないんです。写真集ということもあって、ランジェリーカットの写真セレクトには、すごくこだわらせていただきました。あとは表紙写真のセレクトですね。いろいろな方の意見を伺いながら、最後は自分が一番気に入っている写真を選ばせていただきました。

そのご自身で選んだという表紙写真、どのような思いで選ばれたのでしょうか。
アンニュイな雰囲気の写真を表紙にしたいと思っていたんです。というのも、19歳の時に出した写真集の表紙とは、まったく違う写真を選びたかったからです。何を考えているのか分からないような、力の抜けた雰囲気で、20代最後の女性らしさが残る一枚。それがこの写真でした。最初にパッと見た時から、この一枚が好きだったんです。ほかにも候補はあったのですが、この写真が一番しっくりきました。
映像作品でも本でも、制作するのは手間暇がかかりますね。
一冊の本を作ることが、こんなにも大変なんだということを初めて知りました(笑)。以前に出した写真集は、スタッフのみなさんにお任せしていたので、「早く本ができないかな」くらいに思っていたんです。でも今回は、原稿のチェックもしたり、「こんなにも確認することがたくさんあるんだ」と痛感しました(笑)。本を作ることの大変さを学ぶことができました。
本は間違いが許されないですからね(笑)


小豆島のどのような場所で撮影されたのでしょうか。
海へ行ったり、街歩きをしたり、日本酒を造っている酒蔵や小学校にも行きました。
小学校でのカット、すごく楽しそうな写真ですね。
それはドラマ「ラブレター」のロケ地でもある小学校で撮影した写真です。おそらく撮影当時、私が座っていた席なんです。机も椅子もものすごく小さく感じられて、「私ってこんなに大きくなったんだな」と実感しました。懐かしい気持ちだけではなく、胸が熱くなるような感覚がありました。
単に写真集の撮影をしに訪れたというのではなく、一つの区切りとして、きちんと考えるにもなった貴重な時間だったのでしょうか。
自分の人生や芸歴、お仕事を続けてきた18年間を振り返って、改めて自分と向き合う、そんな数日間だったと思います。いろいろな経験をして、たくさんの方と出会うことができて、喜びや素敵な景色にも出会えました。悔いのない人生を送れていると実感できました。
そういったことが写真の表情にもよく表れているようにも思えます。
カメラマンの西村さんとも、今回初めてお仕事をご一緒させていただいたんです。日に日に信頼関係が深まって、表情も柔らかくなっていったんだと思います。良い距離感を築くことができたと思います。
小豆島の空気感とあいまって、表情もすごく良いですね。
写真集なので、自分の姿がずっと残るものじゃないですか。後悔のない一冊にしたかったですし、誰に見られても恥ずかしくないものにしたかったんです(笑)


10年後、20年後も残るきれいな写真集だと誇れそうですね。
はい。ただ19歳の時に出した前回の写真集よりも、今回はあまりメイクをせずに撮影をしました。ほとんどヘアメイクをしていないカットもあります。ページをめくるたびに少しずつ削ぎ落としていくような構成を、担当編集の方が考えてくださいました。
なにより何も着飾らなくてもカメラの前に立てたことは、これからこの仕事を続けていく上で、一つの自信にもなりました。恥じらいや、変に大人ぶることもなくなって、良い歳の重ね方ができてきたんだなということを、小豆島で改めて知ることができました
オリーブの木と写ったきれいな写真もありますね。
これはオリーブ園で撮影した写真です。「魔女の宅急便」のような写真が撮れる風車があって、そこにはキキの格好をした方がたくさんいました(笑)。オリーブの葉っぱは、普通の緑とは少し違って、薄い黄緑色をしているんです。すごく爽やかで素敵でしたし、オリーブの木々の間から差し込む木漏れ日も、とてもきれいでした。
写真集ではありますが、これまでの軌跡を綴られたような写真も多く載っていますね。
私が持っているプライベートの写真も載せているんです。でも困ったのが、年齢が正確に分からない写真もあって(笑)。ランドセルを背負っている写真や、妹との写真も載せています。
お芝居の仕事で見せる姿とはまったく違う、素の姿や等身大の自分が収められた一冊になっています。今回、写真集を作ってみて、人に見せたくないことや隠しておきたいことが、自分にはあまりないんだということにも気付くことができました。
写真集のタイトル『遠距離、現在此。』は、どのような想いで決められたのでしょうか。
当て字になるのですが、このタイトルは私が付けさせていただきました。2年ほど前に見に行った海外の写真家による個展が、「遠距離現在」(※)というタイトルだったんです。その言葉を知った時に、すごく素敵な字面だなと思っていました。
小豆島は東京から片道6〜7時間かかる、本当に遠い場所です。でも、その距離が自分の29年間の人生とも重なったんです。近いようで遠くて、それでも歩みを止めなかったからこそ、今ここにいる。そのことに気付けた旅でした。そんな想いを込めて、このタイトルに決めました。行く前には何も決めていなくて、帰りの新幹線の中で決めたタイトルなんです(笑)
※正式名は「遠距離現在 Universal / Remote」

本当に撮影を終えたばかりの凝縮された気持ちが乗った言葉なんですね。
はい。最初の候補には英語のタイトル案もあったのですが、旅の帰りに「英語ではなく漢字がいいな」と思ったんです(笑)。過去と今が融合しているようなタイトルで、とても気に入っています。
写真集に山谷さんの今の気持ちが表れたインタビューが載っているのも良いですね。
普通のインタビューとは少し違っていて、マネージャーさんの言葉も載っているんです。担当マネージャーさんのコメントが、インタビューの途中途中に入っています。最後には、マネージャーさんとの写真も載せています(笑)。今担当してもらっているマネージャーさんは、18年前、私がavexのオーディションを受けた時に審査員をされていた方なんです。そういったご縁も含めて、全部この一冊に込めたいという思いがありました。
30代の区切り一つに集約された写真集になるんですね。
実は、ずっと30代に憧れていたんです。なので今は、ワクワクした気持ちでいます。
それは間近に先輩方を見てきて、そう思われているところもあるのでしょうか。
何か一つ力が抜けて、すごく伸び伸びと、お仕事も生活もされているなと感じていました。艶やかさや、心のゆとりのようなものがあって、とても羨ましかったんです。みなさん本当に楽しそうに見えるんですよね。自分のやりたいことを、自分のペースでできるようになってくる方が多いと思うんです。その楽しそうにしている理由が、今になって少しずつ分かりはじめてきた気がします。
ではその30代、どのようなことを仕事の目標にしたいと考えているのか教えてください。
以前よりもやりたい仕事はできるようになってきているのですが、それでもまだ少し不安になることがあります。ある意味では、代わりの人がいくらでもいる世界でもあるので、ちゃんと自分の居場所を確立して、何も不安や迷いなく、この俳優という仕事を続けられるようになりたいですね。何があれば不安がなくなるのかは分からないですし、もしかしたら一生、不安なものなのかもしれません(笑)。それでも、この仕事は続けていきたいと思っています。
役柄としては、お母さん役や家庭を持っている役、仕事をバリバリしている役や役職のある役など、たくさん演じていきたいですね。まだ自分が演じたことのない職業の役にも挑戦したいです。
では、最後に写真集をてにしたいと思っている方々へメッセージをお願いします。
いつも応援してくださって、本当にありがとうございます。
これまでのみなさんへの感謝の気持ちを、この一冊に詰め込みました。写真集を見て、「イメージと違うな」と思われる方もいるかもしれません。でも、それも含めて、これが今の私の等身大の姿だと思っています。それらも含めて、これからも応援していただけたら、とても嬉しいです。
ファンのみなさんが、私の演じる役や出演作品を褒めてくださることが、私の自慢でもあります。この写真集『遠距離、現在此。』は、私のトリセツみたいな一冊になっています(笑)。みなさんにも気に入っていただけたら幸せです。


【写真集情報】

山谷花純写真集 遠距離、現在此。
書名:山谷花純写真集 遠距離、現在此。
著者:山谷花純
撮影:西村康
発売日:2026年6月26日
定価:3,850円(税込)
仕様:A4判
ISBN:978-4-04-811839-2
発行:株式会社KADOKAWA
https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322510001231/



【プロフィール】
山谷花純 Kasumi Yamaya

山谷花純(やまや・かすみ)。1996年12月26日生まれ。宮城県出身。身長:160cm。趣味:映画鑑賞、アニメ、漫画、猫。エイベックス・マネジメント・エージェンシー所属。
2008年にドラマ「CHANGE」(フジテレビ系)で俳優デビュー。映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』では、役作りのために丸刈りで末期がん患者の難役を演じきり、その圧倒的な演技力が大きな話題を呼んだ。主演映画『フェイクプラスティックプラネット』で2019マドリード国際映画祭最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。近年は連続テレビ小説「らんまん」、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」「豊臣兄弟!」(いずれもNHK総合ほか)、ドラマ「親友は悪女」(BSテレ東)などの話題作への出演が続いており、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍する。
公式Instagram:https://www.instagram.com/kasuminwoooow/
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