
kukka編集部が5年前から推している俳優・中井友望(なかい・とも)。この仕事を始めた時から出演するのが夢だった“朝ドラ”に初出演。また5月15日(金)公開の映画『廃用身』では、俳優を目指すきっかけになった作品『ヒミズ』で主人公を演じた憧れの存在、染谷将太と初共演。これまで重ねてきた思いと経験が、2つの作品でより大きく花開こうとしています。NHK連続テレビ小説『風、薫る』では、見上愛(一ノ瀬りん)、上坂樹里(大家直美)とともに、梅岡看護婦養成所に通う一期生「東雲ゆき」役。『廃用身』では染谷演じる「漆原糾」が運営するクリニックの看護師「内野恵子」。それぞれ彼女だからこその存在感を余すことなく披露してくれています。出演を通して得た気づきと、静かだけれど熱い気持ちを抱え、これからの作品までもが楽しみになる中井友望に注目です!
Photo:渡会春加 Style:伊藤信子 Hair & Make up:山口 朋子(HITOME) Text:kukka編集部
念願だった”朝ドラ”への出演が決まった時の感想を聞かせてください。
ものすごく嬉しかったです!(笑)。この仕事を始めると決めた時から、いつかは”朝ドラ”に出たい夢をずっと持っていました。これまで何度かオーディションにもチャレンジしてきて、今回初めて出演できることになりました。
「本当に、叶うんだ」と思いました。「いつか、出てみたい」と言ってはいたけれど、本当にちゃんと叶う日が来るんだ、と思いました。撮影が始まるまでの間は、本当に本当なのかと実感があまりない喜びのなかで、ワクワクした気持ちがありました。
ご家族にも報告されましたか。
母に報告したら、とても喜んでくれました(笑)。祖父も祖母も、今から放送を楽しみにしてくれています。
初めての”朝ドラ”撮影の現場、いかがでしたか。
関わっているスタッフの方もキャストの方も、この作品を愛しているのがすぐに分かる現場でした。それに一年間撮影するだけあって「チーム感」をすごく感じられました。衣装合わせの段階からもうすでに、より良い作品を作るためにはどうすべきか、とみなさんから向上心が感じられました。また、そこに自分が加われることが、とても贅沢な現場だなと改めて思うと同時に、気が引き締まりました。その現場で過ごせた時間は、一生忘れることのできないものだと思いました。だからこそ撮影が終わってしまうのが、今は寂しい気持ちでいます(笑)。本当に幸せな空間だと思います。


一俳優として、”朝ドラ”への出演は中井さんにどのようなことをもたらせてくれましたか。
当たり前なことですし、今までもそう思ってやってはきたのですが、改めて自分が「俳優」というよりも、「ひとりの仕事をする人間」として、“この仕事を全うしなくてはいけない”という気持ちになれました。「俳優」なんですけど、「ひとりの人間」であることを意識するような、みんなで1つのことを成し遂げる、ある意味、会社員のような気持ちでもありました。それぞれの役割を持ったスタッフさんがいて、私も役割を持ってそこに居ることができました。
また、どのスタッフさんもすごく対等に私を見てくださるんです。たくさん話しかけてくださいますし、大切なシーンが終わった後は、「すごく良かったよ」と、気兼ねなく言葉をかけてくれます。それに対しても「本当ですか、良かったです」と素直な気持ちで答えられる私で居ることができました。ひとりの人間として、居られた時間が多く、その現場の在り方は、これから先、どの現場でも、よりやっていかないといけないと強く思いました。良いスタッフさんたちと出会って、より自分に言い聞かせることができました。
共演された方についても言えることでしょうか。
看護婦養成所の一期生は7人いるですが、見上愛さんや上坂樹里さんをはじめ、みなさん年齢がバラバラなんです。その中で、チームワークがだんだんと出来上がっていくのが、本当の学校みたいで、とても心地よかったです。長期間、同じ作品に関わらせていただくことが今までなかったので、同じ役のまま長い時間を過ごせる”朝ドラ”では、どんどん役についての解像度も増していきます。役と自分がお互いに寄り添ってくる感覚もありましたし、話を重ねるごとに、すごく楽しくなっていきました。そのプロセスをこの先の作品でも、短い間でやっていけるような準備やコミュニケーションをしっかりやっていきたいと思いました。
演じられた「東雲ゆき」はどのような女性として捉えているのでしょうか。
公式ウェブサイトに、「おっとりしているが、危なっかしいピュアさがある」と紹介されていたのですが、その表現がすごく嬉しかったです。子爵の家柄のお嬢様で、高飛車なところはなく、おっとりしていてピュアで素直。甘やかされていた訳ではなく、たくさん愛されて育てられたのだろうと思えるピュアさを持っています。変なプライドもないので、いろいろなことを吸収していくし、正しくみんなと切磋琢磨できる素直さを持ち合わせた女性です。ナイチンゲールに憧れて養成所に入ったのですが、憧れと学ぶに連れて見えてくる現実とのギャップに、ピュアだからこそ、純粋に悩み、純粋に壁にぶち当たってしまう。そこに「ゆき」なりの答えを出すのですが、そういう真っ直ぐさをこの役から受け取りましたし、同じように、理想と現実のギャップに悩む人たちに共感してもらいたいと思います。視聴者から応援してもらえるようなキャラクターとして見てもらえたら嬉しいです。



5月15日(金)公開の映画『廃用身』についても話を聞かせてください。
演じられた看護師「内野恵子」役についての見どころを教えてください。
登場人物の中では一番若く、同時に医療に携わっている年数も短い分、ほかの誰よりも、目の前で起きている物事に対してフラットに見ることができる人物だと思います。そのため視聴者と同じ目線を持つ役割を担える役柄だと思っています。やはり長く医療に携わっていると、感覚が麻痺してしまうようなこともあり、それが良いものにも悪いものにもなり得るものだと思うんです。その良し悪しの狭間を視聴者のみなさんと一緒に担えたらと、台本を読んだ時に感じました。
どんどん物語が進んでいった時に、果たしてこれで良いのだろうかと手を挙げられる芯のある子だと思いますし、登場人物の中で、唯一その役割を担えたことが良かったと思います。彼女が抱えるその揺らぎのようなものがあることによって、よりこの物語がリアルなものとして伝わると良いですね。
偶然かと思いますが『風、薫る』『廃用身』と、看護師役が続きますね。
そうですね(笑)。でもこれまでは学生の役が多かったんです。手に職のあるような役が今回初めてだったので、きちんと働いて、その職に向き合う役を演じられたことは、年齢も重ねて来たので、嬉しく感じています。
医療に携わることなので、どちらの作品でも演じるにあたって、学ばせていただきました。すごく責任感のある仕事だから、それを仕事にしようと思っている人はやはりすごいと思いますし、そういった方々がいるお陰で私たちも安心して生活ができるので、より感謝する気持ちが深まりました。
今回、染谷将太さんと共演されて、何かしらの刺激を受けられましたか。
俳優さんとしてすごくカッコいいなと思いました。何がと言われると困ってしまうんですが(笑)。染谷さんは私が俳優を目指すきっかけとなった作品『ヒミズ』に出られていた方なので、今回、共演することができてすごく嬉しかったです。勝手に一人で感動していました(笑)
そのことについて染谷さんとは会話をされたのでしょうか。
いえ、会話はできなかったです(笑)
では、またお仕事で共演できる機会があると良いですね。
はい、頑張りたいと思います。
映画『廃用身』の公開を待つ皆さんに中井さんからメッセージをお願いします。
原作も台本も、出来上がった本作を見ても、ノンフィクションではないかと思うほど、リアリティのある作品です。よくこの作品を書こうと思ったと思いますし、よくこの作品を実写化しようと思ったと思うほど、ある問題に対して攻めた内容だと思います。気軽に「見てね」と言うのを迷うほど、危うい内容ですし、こうなりうる未来があってもおかしくはないとも感じています。介護の大変さも改めて感じますし、この作品を通じて、何かを知るきっかけに、何かを問いかけるきっかけになればと思います。



中井さんの近況も聞かせてください。
最近の読書嗜好を教えてください。
又吉直樹さんの『生きとるわ』です。ずっと発売を楽しみにしていて、2日で一気に読んでしまいました。でも、読んだら食らってしまって、しんどい気持ちになりました(笑)。重い気持ちにはなりましたけど、もちろん読んで良かった作品です。
また小説でもう一つ、メリッサ・ダ・コスタというフランス人作家の『空、はてしない青』です。ジャケ買いした本なのですが、読んだらすごく面白かったです。きれいな青いカバーですし、題名にも惹かれました。余命宣告をされた男性が旅に出るお話です。旅に出る本を読むと、私も旅に出かけたくなります。
どちらに旅したい気分でしょうか(笑) 寝台列車に乗って広島や岡山とか、行ったことがない新潟にも行ってみたいです。ほかに東北、青森のほうにも出かけてみたいです。旅先に本を持っていくのが好きなんです。土地と本って、すごく記憶に残るんです。読んだことのある本を開くと、「これ、どこどこで読んだ本だ」と自分の記憶にしまっていることが多いんです。そういう『土地と本』という記憶を、これからも増やしていけたらと思っています。



【プロフィール】
中井友望 Nakai Tomo

2000年1月6日生まれ。大阪府出身。158cm。B型。テンカラット所属。
2019年に「ミスiD2019」でグランプリを受賞し、2020年にTVドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」(日本テレビ)でドラマ初出演を飾る。主な出演作として、映画『少女は卒業しない』(2023年/中川駿監督)、 『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ(2023年・2024年/阪元裕吾監督)、初の単独主演映画『サーチライト-遊星散歩-』(2023年10月/平波亘監督)、『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(2025/TBS)、『私があなたといる理由~グアムを訪れた3組の男女の1週間~』(2025年/テレビ東京)、『君としたキスはいつまでも』(2025年/ABC)、『恋に至る病』(2025年/廣木隆一監督)、『なんでもないトマトなのに』(2026年/FOD SHORT)、『GIFT』(2026年/TBS)などがある。2026年には、連続テレビ小説『風、薫る』(2026年前期放送予定、NHK総合)東雲ゆき役で”朝ドラ”に初出演するほか、5月15日(金)公開映画『廃用身』内野恵子役で出演。 今後の出演作として、2026年秋公開予定の映画『すべて真夜中の恋人たち』、2026年冬公開予定の映画『うるさいこの音の全部』、2026年公開予定の映画『シルバー・エクスプレス』が控える。
公式Instagram:@youwang16
公式サイト:https://tencarat.co.jp/nakaitomo/
【出演情報】
NHK総合 毎週月曜~土曜 午前8時~8時15分
連続テレビ小説『風、薫る』
連続テレビ小説の第114作目となる『風、薫る』。明治時代に日本で初めて近代看護学を学んだ大関和と鈴木雅をモチーフに、二人の生きざまをフィクションとして再構成。 主人公は、栃木県那須地域の町で元家老の家に生まれた一ノ瀬りん(見上愛)と、生後間もなく親に捨てられてキリスト教の牧師に育てられた大家直美(上坂樹里)。同じ看護婦養成所を卒業した二人が、医療現場で悩み、ぶつかり合う中で成長。やがて“最強のバディ”になっていく姿を描く物語。
<出演>
見上愛 上坂樹里 佐野晶哉 生田絵梨花 古川雄大 菊池亜希子 藤原季節 平埜生成 中井友望 筒井道隆 多部未華子 原田泰造 水野美紀 坂東彌十郎 仲間由紀恵
公式サイト:https://www.web.nhk/tv/an/kazekaoru/
公式X:@asadora_nhk
公式Instagram:@asadora_ak_nhk
【出演情報②】
公開日:2026年5月15日(金)
映画『廃用身』

映像化不可能とまで言われた問題作がついに劇場公開へ
現役医師による現代医療への衝撃的テーゼ
ある町のデイケア「異人坂クリニック」に通うお年寄りの間で、漆原院長(染谷将太)が考案した“画期的な”治療が密かに広まっている。究極のコスパの良い介護を目指すその医療行為は、<廃用身」>(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)をめぐる、従来の常識を覆すものだという。その結果、「身体も心も軽くなった」、「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者・矢倉(北村有起哉)は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける。しかしやがて、デイケアに関するとある内部告発が週刊誌に流出。さらに、患者宅で起きた衝撃の事件をきっかけに、すべてが暗転していくーー。
