Photo & Text:kukka編集部

実は、10年近く前に朝ドラ「花子とアン」のオーディション受けたことがあったのですが、最終審査まで残ったもののご縁がなくて。その時にオーディションの審査をしてくれたのが、この「あんぱん」の柳川強監督なんです。監督が今回の「あんぱん」をイメージしていく中で、海軍中尉役には、市川くんが合うんじゃないと思ってくださったようで、声をかけていただきました。昔のご縁がつながって嬉しかったです。

いえ、特になくて。ただ、前年にNHKの夜ドラ「ワタシってサバサバしてるから」に出演したことを監督が観てくださったようで、それもあって思い出していただけたのかもしれないです。

タイミングもあると思っています。こういったご縁でまさか出演が決まるとは思っていなかったので、お話をいただいた時はとても嬉しかったです。

監督が海軍中尉の貴島という役が自分に合うと思ってくれたことが嬉しかったですし、同時にその期待に応えたい気持ちを持ちました。まずは、海軍中尉についてきちんと勉強しないといけないと思い、役が決まるとすぐに図書館に行きました。海軍兵学校の本を借りてひたすら、「貴島勝夫」が経験したであろう時代やその環境について勉強しました。

借りた本の中には、写真付きのものもありました。当時は江田島というところに兵学校があって、宿舎の様子とか、運動会の写真などが載っていたんです。本から得られる情報ってすごく多くて、今回の作品のように直接本人に話を伺うことが難しい場合、そういった情報にはすごく助けられます。当時は、こういう生活をしていたんだとか、タイムスケジュールはこうだったんだとか。

こういう勉強をしたとか、学年の上下関係がこうだったとか、海軍兵学校の時間割まで載っていました。僕が演じた「貴島勝夫」はそういったことを経て中尉になった人物でもあります。彼が成長した期間を想像することはとても大切だと考えていたので、しっかり勉強させていただきました。あと方言についても勉強しました。

はい、高知で土佐弁です。

土佐弁は聞き馴染みのない言葉でしたが事前に録音テープをいただいて練習をしたり、方言指導の方とも練習させていただく機会がありました。そういった準備期間を設けていただけたので、とても助けられました。

撮影はとても円滑で、雰囲気も良かったと感じました。

「あんぱん」に出てくるキャラクターは、みんなそれぞれの苦悩がありつつも、懸命に朗らかに生きている人たちです。一方で戦前が舞台であり、数年後に待ち受けている戦争の暗い影もあると思います。海軍中尉として国を守るために、暗い部分も見せていかないといけないキャラクターだったので、いろいろな人の思いを背負って訓練していた「貴島」の生活を想像しました。本では読んでいましたが、実際に自分が演じてみて、改めてその方たちを敬う気持ちが増しました。

やなせたかしさんも戦争の経験をしている分、周りの人を明るくしたいとの思いを込めていたと思います。時代のネガティブな部分を、この朝ドラ「あんぱん」の中で担える役柄でもあります。その意味でも、今回の「貴島」役を任せてもらえたことは、本当にありがたいです

幼馴染だけれども、年齢は少し上の存在です。「貴島」と「のぶ」の関係を見て、「たかし」が自分の気持ちに気づき始める、その役割もあります。なので、格好良さも多少は必要な役柄だなと思いました。

軍人らしくキビキビした姿で、あまり笑顔は無い方が良いとの演出をいただきました。軍人としての緊張感のようなものを求められていると思いましたし、それに応えた芝居をしたいと心がけました。戦争の暗い部分があるからこそ、「のぶ」と「たかし」の関係が対比されて際立つと思います。

家族全員が揃った浅田家に「貴島」が訪れる場面があります。一線で活躍されている役者さんばかりの中で、お芝居ができたことは、いま改めて思うと贅沢な環境でした。そのシーンの撮影を乗り越えただけでも、自分に一つの成長があったのではと思っています。同時に、歴史ある朝ドラのシーンに携われたことへの喜びがとてもあります。

オープニングの映像で自分のクレジットを確認できた時は、嬉しかったです。朝ドラのオーディションを10代の頃から何度も受けていたので、やっと出られたんだ、と喜びが生まれました。過去の自分に「朝ドラ、出られたよ!!」と伝えてあげたいです。

>>前回のインタビュー記事

あれから打ちっぱなしには数回しか行けていません(笑)。なので、まだ趣味と呼べるほどにはなっていないんです。

僕のレベルと合わせていただくのが申し訳ないなと思ってしまうんです。同じくらいのレベルの方がいると良いのですが・・・。

今、お菓子作りにめちゃくちゃハマっています。ここ半年くらいで急に作り出しました。昨日もおとといも作ったので、もう趣味と言って良いレベルほどの頻度です(笑)

今まで趣味と言えるものがあまりなかったので、楽しんでいます。

基本的に、ひとりで全部食べられるんです、3人分とか。一日は日持ちするので、2日間で食べたりとかもしています。

初めの頃は、僕もそう思っていました。でも、最近ではむしろ足りないと感じるほどです(笑)。先日もキャロットケーキ作ったのですが、そんなにレーズンは使わないだろうと思って少量を用意していたんです。でも、結局足らなくなって、もっとたくさん買っておけば良かったと後悔したほどです。

料理と違って、お菓子づくりはしっかり分量を量らないといけないんです。目分量ではダメなので、そういったところが自分には向いていると思います。

趣味が仕事に繋がったら、良いですね。もっとレパートリーを増やしていきたいです。

お菓子を少し飛び越えて、朝ドラにも出演するので「アンパン」を作ってみたいです。いま作り方をいろいろと調べているところです。

あとは和菓子にも挑戦してみたいですね。ファンの方にレシピ本をいただいたのですが、その中に和菓子のレシピもあって。今後、それを見ながらレパートリーも増やせたらと思っています。

「あんぱん」の登場人物は、みんな何かに向かって奮闘している魅力的な人ばかりです。僕が演じる「貴島勝夫」も国を背負い海軍の中尉として懸命に生きています。その姿を見て、視聴者の方も元気づけられたらと思います。毎日欠かさず観ていただいて、半年間「あんぱん」一色になって欲しいです。僕の登場するシーンにも注目してほしいですし、ドラマ自体にも没頭してもらえたら嬉しいです。


【出演情報】

NHK総合 毎週月曜~土曜 午前8時~8時15分

連続テレビ小説 『あんぱん』

 “アンパンマン”を生み出したやなせたかしと暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった二人の人生。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語。

<出演>
今田美桜 北村匠海 加瀬亮 江口のりこ 河合優実 原菜乃華 細田佳央太 高橋文哉 中沢元紀 大森元貴 市川知宏/ 二宮和也 戸田菜穂 浅田美代子 吉田鋼太郎 / 竹野内豊 妻夫木聡 阿部サダヲ 松嶋菜々子 ほか
作:中園ミホ
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー


【プロフィール】

市川知宏  Tomohiro Ichikawa

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事