今春放送されたドラマ「ドラゴン桜」で、坊主頭のヤンキー役を演じて注目を集めた俳優・西山潤。9月18日に初演を迎える舞台『ヒミズ』では、初舞台・初主演の大役を担う。子役時代から評判の演技力を武器に、満を持して初舞台へ挑む。インタビューでは、舞台への意気込みを中心に、ありのままの心境を語ってくれました。芝居に対して、真正面から真摯に向かい合う姿勢が印象的な西山潤は、いま一番、成長が楽しみな期待の若手俳優だ。また、プライベートでは溢れる“トイレ掃除・愛”を披露。クールな表情の奥に隠されたギャップある一面でも注目です!

Photo:きるけ。
Text:kukka編集部

初舞台初主演の本作「ヒミズ」の初日までもう少しですね。

はい、何もかもが初めてのことなので分からないことも多く、心臓がバキバキです(笑)。

現在稽古の最中かと思いますが、ドラマとやはり舞台は違いますか。

そうですね、ドラマとは全然違いますね。一番は時間のかけ方が違うなと感じています。舞台の稽古では、1つのシーンに1時間も2時間もかけて取り組むことがあります。そういった時間をかけて何度も芝居を重ねていくことで、やりたい表現が見えてくる感じがあります。初めての経験なのでとても新鮮な気持ちでいます。また取り直しのない本番に向けて、しっかり稽古を積み重ねる。本番が始まったら役者だけで2時間を乗り切る。それが舞台ならではであり、役者としての楽しみでもありますね。だから稽古も、そこに向けての作業のため緊張感もありますし、今まで経験してきたドラマとは違いますね。またそれらが、映像の仕事にも活かされものだと実感しています。

初めて経験することが多いと思うのですが、どなたかにアドバイスを尋ねたりされたのでしょうか。

事務所の先輩でもある林遣都さんにいろいろとアドバイスをもらいました。本当に何も分からなかったので「稽古の初日って台本を覚えていくべきなんですか」とか(笑)。基本的なことから全部教えてもらいました。

林さんは何とアドバイスしてくれたのですか。

「せっかく1か月も稽古の期間があるのに、あまり決め込んで臨むのはもったいないよ」とアドバイスをいただきました。いざ稽古が始まってみて、僕もその言葉の通りだったなと思いました。

現場での役者さんがつくる空気感のようなものがあるのでしょうか。

人と実際にやることで変わってきますね。相手が演じてくる感じも毎回違いますし、僕自身も毎回、変えるようにしていますし。

そういった現場の掛け合いは、緊張や怖さを感じるものなのでしょうか。

いえ、正直に言って楽しいですね。ドラマの撮影現場でもそうだったのですが、自分の引き出しをどんどん開けていけますし、役者としてはある意味、勝負所だと思っています。本番でなく、稽古で何度もできるのは嬉しいというか、幸せというか。ここでやらなかったらいつやるんだ、くらいな気持ちでいますね。なので、本当に遣都さんのいっていた通りだなと、いま実感しています。

『ヒミズ』は原作の漫画のほか、映画にもなっている作品ですね。

出演が決まる前にも、原作も映画も読んだり、観たことがあったのですが、今回の舞台が決まって改めて見直してみました。ただ、舞台は舞台でオリジナルなものですし、漫画は漫画、映画は映画、舞台は舞台として見た人に楽しんでもらえたらと思っています。原作をリスペクトはしつつ、今回の舞台で新しい「ヒミズ」、新しい「住田」を作っていけたらと思っています。

どのような経緯で舞台のお仕事が決まったことを知ったのでしょうか。

唐突に、マネージャーさんから報告を受けたんです。

マネ「ヒミズの仕事が決まったよ」
西山「え?」
マネ「舞台だよ」
西山「え??」
マネ「主演だよ」
西山「え???」

こんな感じだったんです(笑)。

笑。どの「え?」の時が一番びっくりされたんでしょうか。

「舞台」に対してです。ずっとやりたかった舞台の仕事ではあったのですが、それだけに深く思うこともあって。今まで自分のやってきた芝居が舞台で通じるのかどうか、舞台に対する不安が正直ありました。昨年、上演されていた「ゲルニカ」という舞台を観にいったのですが、それがものすごく良かったんです。その時に、自分も舞台をやってみたいと思ったのを鮮明に覚えています。その舞台には、友人でもある上白石萌歌さんが出ていたのですが、すごい芝居を見せつけられたというか、見てしまって、「自分も負けていられない」と一人の役者として感じました。自分も舞台を観てくれた方に、同じような感動を届けたいと思いましたね。

1日2公演もあったりとハードな9日間になりそうですね。

そうですね、自分は9日目にはどうなっているんだろうと不安になります(笑)。一日全力で住田を演じて帰宅して、また次の日に全力で住田を演じて帰宅。それを9日間連続した自分の姿を想像すると少し不安になります。普段の生活しているような気持ちではいられないような気がします。

ドラマなどの場合、現場を離れても役が残っていることが多いですか、それともサッと切り替わられる方ですか。

スパッと切り替われる方ですね。ただ今までがスパッと切り替わっていたのですが、今回はそうはいかないのでは、と思っていて、引きずってしまいそうな気もしています。

稽古場の雰囲気はいかがでしょうか。

今回、演者にもスタッフの方の中にも、過去に仕事でご一緒した方がいないのですが、稽古場の雰囲気はめちゃくちゃいいです!(笑) 一番多く現場にいるので、積極的にみんなに声を掛けさせていただいてなるべく雰囲気を作れるように意識しています。「住田」が暗く重い役でもあるので、なおさら現場は明るく重苦しい現場にならないように努めています。

演出の谷碧仁さんからは、どのような指導や意向があったのだったのでしょうか。

たくさん指導をいただいているのですが、中でも「舞台だからと言ってお客さんに見せることを意識するのではなく、お客さんに拾ってもらう。お客さんに思わせるのではなく、拾ってもらう感覚は大切だから持って欲しい」そう言われました。「涙を流す人を見て人は涙を流さない」、そのためのいろいろな見せ方を見せて欲しいと言われました。いかに人間らしくいられるか、いかに中学三年生の住田らしくいられるか、が勝負だと思っています。

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西山さんご自身についてもお話を聞かせてください。まずは芸能界入りのきっかけを教えてください。

事務所のある恵比寿でスカウトされました。小学校1年生の時に、恵比寿駅前のファーストフード店に家族といる時に声を掛けて頂きました。今から16年前で、まだ何も分からないころでしたね。そのあと、初めて受けた堤幸彦さんが監督の映画『サイレン』のオーディンションで合格し、芝居を始めたのが始まりです。

プライベートについても聞かせてください。今、一番はまっていることを教えてください。

トイレ掃除にハマっています!(笑)。一人暮らしをしているのですが、毎日しています。トイレの空間にもこだわっていて、フレグランスやサボテンといった観葉植物を置いています。トイレの便座の奥まで手を伸ばしてゴシゴシ磨くのはもちろん、床も壁もキレイに掃除しています。

そこまでキレイに毎日するなんてすごいですね。

トイレって、その人の素な部分が一番出る場所だと思うんです。だからこそ、一日3分の時間を作って掃除するよう心掛けています。でも1つだけミスしたんです。実は、買ったフレグランスが事務所に置いてあるフレグランスとまったく一緒のものだったんです(笑)。使いはじめた時に、「なんかこの香り、どこかで嗅いだ香りだ」と思って、この間、事務所に行った時に気付いたんです。しかもたくさん買ってしまってストックもあるんです。何だか、会社大好き人間みたいですね(笑)。

いつかそのキレイなトイレ、ファンの方にもSNSで見られるといいですね(笑)。

サボテンくらいなら見せられるかもしれないです。ちょこんと置かれたサボテンが可愛いんです。すごくこだわって選んだんですが、“THE サボテン”な見た目をしています。一週間に1回、必ず水をあげています(笑)。

トイレへのこだわり、ありがとうございます(笑)。また普段のファッションについても聞かせてください。どういった服が好きなんでしょうか。

古着が好きですね。最近は特に楽に着られる服を選ぶようになりましたね。シンプルでカッコ良くて、セットアップにしやすいものですね。先輩から戴くことも多いです。

ドラマ「ドラゴン桜」で短くされた髪ですが、今後の髪型はどうされる予定でしょうか。

もう少し伸ばしますけど、短髪で行こうと思っています。ずっと長い髪でいたので、しばらくは短髪もいいかなと。自慢の富士額のある、おでこを出していこうと思います(笑)。

最後に、舞台への意気込みと役者としての目標を聞かせてください。

気負い過ぎず、今の自分の出せるものを舞台という“生”の場でしっかり出していくことが勝負だと思っています。役者としての目標についても同様で、いかにその時その時でのパフォーマンスができるかが大事。常に持っているものすべてを出し切っていけるか、それがこれからのドラマや映画などの芝居にも生きてくると感じています。いろいろな俳優さんがいる中で、自分なりの色も探り、それを求め続けたいと思います。

【舞台】

舞台『ヒミズ』

2021年9月18日(土)~26日(日)
東京・Mixalive TOKYO 「Theater Mixa」

「ヤングマガジン」にて、2001年から2003年にかけて連載され、2012年には映画化された、古谷実原作の『ヒミズ』。『行け!稲中卓球部!』で知られる古谷氏がリアルな人間描写に挑んだ青春残酷物語『ヒミズ』。
今作の舞台では、講談社と劇団時間制作がタッグを組み、全14公演を池袋「Theater Mixa」にて行うことが決定。
主人公・住田祐一役に体当たりで挑むのがドラマ『ドラゴン桜』にも出演し、話題を集めた若手俳優の西山潤。ヒロインの茶沢景子役には『仮面ライダーエグゼイド』やNHK連続テレビ小説『スカーレット』にも出演し、演技力に定評がある松田るか。ソレ役には、舞台『刀剣乱舞』などで活躍する三津谷亮。舞台作品ならではの独特の世界観を表現していく。

<原作>
古谷実(講談社刊)

<脚本・演出>
谷碧仁

<出演>
西山潤
松田るか
三津谷亮

木ノ本嶺浩
久獅
柴田時江
前田悠雅(劇団4ドル50セント)
田名瀬偉年(劇団時間制作)
佐々木道成(劇団時間制作)

モロ師岡

<主催>
舞台『ヒミズ』製作委員会

劇団時間制作公式HP
http://zikanseisaku.com/

劇団時間制作公式Twitter
@zikanseisaku

【上演スケジュール】

2021/9/18(土)~2021/9/26(日) 全14回公演
9/18(土)  13:00/18:00
9/19(日)  13:00/18:00
9/20(月祝) 12:00/17:00
9/21(火)      18:00
9/22(水)      18:00
9/23(木祝) 13:00/18:00
9/24(金)      18:00
9/25(土)  13:00/18:00
9/26(日) 14:00

【会場】

Mixalive TOKYO 「Theater Mixa」
東京都豊島区東池袋1-14-3 Mixalive TOKYO 6階
https://theater.mixalive.jp/

チケット購入はこちらから/プレイガイド:カンフェティ

西山潤・プロフィール

にしやま・じゅん。1998年7月12日生まれ。神奈川県出身。176cm。A型。趣味:バイク・ギター・ボイトレ、特技:スポーツ全般(球技・水泳) 2006年公開の映画『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』でデビュー。2008年からの20世紀少年の映画3部作に主人公・ケンヂの幼少役として出演。以降、2009年大河ドラマ「天地人」、2019年「いだてん〜東京オリムピック噺〜」、2021年ドラマ「ドラゴン桜」にも出演するなど、子役時代から現在まで話題作で演技を磨き、注目を集める。2021年9月18日〜26日に上演される舞台『ヒミズ』では初舞台・初主演で主人公・住田祐一役を務める業界注目の実力派若手俳優。

西山潤 Instagram @jun_nishiyama_official

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