
放送が始まり、多くのメディアで話題を集めている朝ドラ「あんぱん」。今回、主演・今田美桜さんが演じるヒロイン「朝田のぶ」の幼なじみにして、憧れの海軍中尉「貴島勝夫」役を演じる市川知宏さんにインタビューをさせてもらいました。初めてとなる朝ドラ出演への思い、真摯に向き合う役づくりのほか、こだわり度の高い意外な趣味についても話をさせてもらいました。海軍中尉の制服姿が似合う市川知宏さん出演の朝ドラをお見逃しなく!
Photo & Text:kukka編集部
朝ドラ初出演、おめでとうございます。ご出演の経緯を教えていただけますでしょうか。
実は、10年近く前に朝ドラ「花子とアン」のオーディション受けたことがあったのですが、最終審査まで残ったもののご縁がなくて。その時にオーディションの審査をしてくれたのが、この「あんぱん」の柳川強監督なんです。監督が今回の「あんぱん」をイメージしていく中で、海軍中尉役には、市川くんが合うんじゃないと思ってくださったようで、声をかけていただきました。昔のご縁がつながって嬉しかったです。
ご縁もご縁すぎるお話ですね。その10年ほどの間に、監督とは何かしらのコンタクトはあったのでしょうか。
いえ、特になくて。ただ、前年にNHKの夜ドラ「ワタシってサバサバしてるから」に出演したことを監督が観てくださったようで、それもあって思い出していただけたのかもしれないです。
すごく素敵なお話ですね。でも、できれば10年もかからず思い出して欲しかったですね(笑)
タイミングもあると思っています。こういったご縁でまさか出演が決まるとは思っていなかったので、お話をいただいた時はとても嬉しかったです。


海軍中尉の役と聞いた時にはどう思われましたか。
監督が海軍中尉の貴島という役が自分に合うと思ってくれたことが嬉しかったですし、同時にその期待に応えたい気持ちを持ちました。まずは、海軍中尉についてきちんと勉強しないといけないと思い、役が決まるとすぐに図書館に行きました。海軍兵学校の本を借りてひたすら、「貴島勝夫」が経験したであろう時代やその環境について勉強しました。
役の背景まで、事前の勉強もかなりされたんですね。
借りた本の中には、写真付きのものもありました。当時は江田島というところに兵学校があって、宿舎の様子とか、運動会の写真などが載っていたんです。本から得られる情報ってすごく多くて、今回の作品のように直接本人に話を伺うことが難しい場合、そういった情報にはすごく助けられます。当時は、こういう生活をしていたんだとか、タイムスケジュールはこうだったんだとか。
そこまで詳しい資料が今も残っていたんですね。
こういう勉強をしたとか、学年の上下関係がこうだったとか、海軍兵学校の時間割まで載っていました。僕が演じた「貴島勝夫」はそういったことを経て中尉になった人物でもあります。彼が成長した期間を想像することはとても大切だと考えていたので、しっかり勉強させていただきました。あと方言についても勉強しました。

ドラマの舞台は高知ですよね。
はい、高知で土佐弁です。
市川さんの東京出身ですが、土佐弁を覚えるのはいかがでしたか。
土佐弁は聞き馴染みのない言葉でしたが事前に録音テープをいただいて練習をしたり、方言指導の方とも練習させていただく機会がありました。そういった準備期間を設けていただけたので、とても助けられました。
朝ドラの現場環境や雰囲気が良いというのは、出演された方からもお話を聞くことがあります。
撮影はとても円滑で、雰囲気も良かったと感じました。
朝ドラの撮影を経験されて、役者として何か新しいことは感じられたのでしょうか。
「あんぱん」に出てくるキャラクターは、みんなそれぞれの苦悩がありつつも、懸命に朗らかに生きている人たちです。一方で戦前が舞台であり、数年後に待ち受けている戦争の暗い影もあると思います。海軍中尉として国を守るために、暗い部分も見せていかないといけないキャラクターだったので、いろいろな人の思いを背負って訓練していた「貴島」の生活を想像しました。本では読んでいましたが、実際に自分が演じてみて、改めてその方たちを敬う気持ちが増しました。
漫画「アンパンマン」でも子ども向け作品ではありつつも、その背景については考えさせられるものはありますね。
やなせたかしさんも戦争の経験をしている分、周りの人を明るくしたいとの思いを込めていたと思います。時代のネガティブな部分を、この朝ドラ「あんぱん」の中で担える役柄でもあります。その意味でも、今回の「貴島」役を任せてもらえたことは、本当にありがたいですね。
市川さん演じるのは中尉「貴島勝夫」役ですが、今田美桜さんが演じる「朝田のぶ」の憧れの人でもありますね。
幼馴染だけれども、年齢は少し上の存在です。「貴島」と「のぶ」の関係を見て、「たかし」が自分の気持ちに気づき始める、その役割もあります。なので、格好良さも多少は必要な役柄だなと思いました。
海軍中尉を着た市川さん、ビシッとキマっている姿が想像しやすかったです(笑)

監督とは演じる上で、何かお話されたのでしょうか。
軍人らしくキビキビした姿で、あまり笑顔は無い方が良いとの演出をいただきました。軍人としての緊張感のようなものを求められていると思いましたし、それに応えた芝居をしたいと心がけました。戦争の暗い部分があるからこそ、「のぶ」と「たかし」の関係が対比されて際立つと思います。
振り返って、朝ドラの撮影を経験で得られたことがあれば教えてください。
家族全員が揃った浅田家に「貴島」が訪れる場面があります。一線で活躍されている役者さんばかりの中で、お芝居ができたことは、いま改めて思うと贅沢な環境でした。そのシーンの撮影を乗り越えただけでも、自分に一つの成長があったのではと思っています。同時に、歴史ある朝ドラのシーンに携われたことへの喜びがとてもあります。
朝ドラの撮影だから積めた経験でもありますね。
オープニングの映像で自分のクレジットを確認できた時は、嬉しかったです。朝ドラのオーディションを10代の頃から何度も受けていたので、やっと出られたんだ、と喜びが生まれました。過去の自分に「朝ドラ、出られたよ!!」と伝えてあげたいです。
朝ドラで活躍する市川さんの姿、楽しみにしています!

また近況についても伺わせてください。昨年、インタビューさせていただいた時には、プライベートではゴルフをしたいと言っていましたが、その後はいかがでしょうか。
あれから打ちっぱなしには数回しか行けていません(笑)。なので、まだ趣味と呼べるほどにはなっていないんです。
身近な周りにゴルフを一緒にしてくる方が欲しいとも言っていましたが。
僕のレベルと合わせていただくのが申し訳ないなと思ってしまうんです。同じくらいのレベルの方がいると良いのですが・・・。
また、以前は餃子パーティーご自宅で開かれていました。よく料理の写真をインスタでも拝見します。最近はどういった食べ物に興味がありますか。
今、お菓子作りにめちゃくちゃハマっています。ここ半年くらいで急に作り出しました。昨日もおとといも作ったので、もう趣味と言って良いレベルほどの頻度です(笑)
ゴルフよりもかなり熱心ですね(笑)
今まで趣味と言えるものがあまりなかったので、楽しんでいます。
お菓子づくりは、少量だけ作るのはなかなか難しいかと思います。多く作ってしまった分はどうされていますか。
基本的に、ひとりで全部食べられるんです、3人分とか。一日は日持ちするので、2日間で食べたりとかもしています。
材料も一度に使い切れなさそうで、頻度も上げないとなかなか趣味にしづらい印象ですが。
初めの頃は、僕もそう思っていました。でも、最近ではむしろ足りないと感じるほどです(笑)。先日もキャロットケーキ作ったのですが、そんなにレーズンは使わないだろうと思って少量を用意していたんです。でも、結局足らなくなって、もっとたくさん買っておけば良かったと後悔したほどです。
キャロットケーキまで作れるんですね(笑)
料理と違って、お菓子づくりはしっかり分量を量らないといけないんです。目分量ではダメなので、そういったところが自分には向いていると思います。
しっかり事前準備をして撮影に挑む取り組み方と同じで、お菓子づくりも市川さんから想像できますね。ここまで、ハマっているなら、将来的にお菓子に関連したお仕事もできると良いですね。
趣味が仕事に繋がったら、良いですね。もっとレパートリーを増やしていきたいです。

次に作ってみたいお菓子はありますか。
お菓子を少し飛び越えて、朝ドラにも出演するので「アンパン」を作ってみたいです。いま作り方をいろいろと調べているところです。
ぜひ朝ドラ「あんぱん」出演の俳優が作る “あんぱん” を見てみたいです(笑)
あとは和菓子にも挑戦してみたいですね。ファンの方にレシピ本をいただいたのですが、その中に和菓子のレシピもあって。今後、それを見ながらレパートリーも増やせたらと思っています。
それでは、最後に市川さんの出演を楽しみにしている方々へメッセージをお願いいたします。
「あんぱん」の登場人物は、みんな何かに向かって奮闘している魅力的な人ばかりです。僕が演じる「貴島勝夫」も国を背負い海軍の中尉として懸命に生きています。その姿を見て、視聴者の方も元気づけられたらと思います。毎日欠かさず観ていただいて、半年間「あんぱん」一色になって欲しいですね。僕の登場するシーンにも注目してほしいですし、ドラマ自体にも没頭してもらえたら嬉しいです。

【出演情報】
NHK総合 毎週月曜~土曜 午前8時~8時15分
連続テレビ小説 『あんぱん』
“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった二人の人生。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語。
<出演>
今田美桜 北村匠海 加瀬亮 江口のりこ 河合優実 原菜乃華 細田佳央太 高橋文哉 中沢元紀 大森元貴 市川知宏/ 二宮和也 戸田菜穂 浅田美代子 吉田鋼太郎 / 竹野内豊 妻夫木聡 阿部サダヲ 松嶋菜々子 ほか
作:中園ミホ
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
【プロフィール】
市川知宏 Tomohiro Ichikawa

市川知宏(いちかわ・ともひろ)。1991年9月6日生まれ。東京都出身。185cm。A型。趣味:お菓子作り。
第21回『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』でグランプリを受賞。2009年、テレビドラマ『カイドク〜都市伝説の暗号ミステリー〜』で俳優デビュー。近年の出演作に、ドラマ『グレイトギフト』『Believe-君にかける橋-』『あらばしり』『三人夫婦』、映画『罪と悪』『サラリーマン金太郎【魁】編』などがある。2025年NHK連続テレビ小説「あんぱん」では、主人公・朝田のぶの幼馴染みで海軍中尉の貴島勝夫役で出演を果たす。
公式インスタグラム @tomohiro_ichikawa_official
スタッフX @ichitomo96
公式サイト
