3月24日公開の映画『18歳、つむぎます』でヒロイン役を射止めた女優「伊礼姫奈」。一度目にするだけで十分なほど印象的な大きな瞳と、静かだけれども秘めた情熱を感じずに入られない演技が忘れられない彼女。4歳から芝居に親しみ、ポップな役からハードな役に至るまで、役の数だけその色に染まる実力派。芝居への秘めた情熱を見た目に感じさせない落ち着きはドライアイスのような女優。すでにリリースされている2023年の公開作品だけも4本。今後更なるリリースも数多くあり、ブレイクが約束された存在です。そんな演劇界が待望視する新星「伊礼姫奈」にインタビュー。素顔の彼女は、ひとりが似合う繊細さと、散歩をこよなく愛する“旅人”でした♪
Photo:望月宏樹
Text:kukka編集部
全キャストがオーディションを経てのキャスティングの本作ですが、ヒロイン役に決まったと報告を受けた時の率直な気落ちを聞かせてください。
ワークショップを経てのオーディションだったこともあり、みんながいる前での発表だったんです。みんなも頑張っている姿を見ていたので、名前を呼ばれた時にその場では素直に喜ぶことができなくて。もちろん嬉しかったですし、同時にこれからもっと頑張らなきゃなと思いました。今まで以上にこの作品に向き合おうという気を引き締めるような気持ちにもなりました。
「上山愛理」役について、監督からは何か要望はあったのでしょうか。
“常に明るいこと”を監督との共通認識にしていました。クラスメイトに自分の意見をはっきりと言うシーンは、かなり長ゼリフだったんです。そんな時もテンションを落とさず元気に言い切ることを、ずっと意識して演じていました。どうしても長いセリフになると、発する向きが自分に向いてしまいがちなのですが、そこを意識して、「愛理」らしく“元気”に演じてほしいと言われていました。
実際に撮り終えて、その明るい「愛理」は上手く演じられた印象でしょうか。
そのシーン、撮り終えたときの達成感がすごくて、「長ゼリフを言えたし、元気にやれた!」と素直に思えたので、やり切れたと思います。
「愛理」役、ぜひここを見てもらいたい、と思われるのはどのシーンでしょうか。
「大成」くんに「愛理」がバーッと喋るシーンがあるのですが、そこは一番セリフの量が多くて頭もパンパンだったんですけど、監督とも丁寧にコミュニケーションをとって、なんでこのセリフが出てきたんだろうとか、一から考えて、実感を伴って言えたセリフだったので、見どころだなと思っています。セリフを言い終わった後に、「ちゃんと言えた」という結構いい表情が出ていると思います。すっきりしたいい顔をしているので、ぜひ見てください(笑)
撮影は広島の福山市に行かれて行われたそうですね。同世代の出演者も多いですし、撮影現場はどのような雰囲気だったでしょうか。
すぐにみんな仲良くなれて楽しく撮影することができました。撮休の日には、作品のPR映像を撮るために福山市の名所にみんなで出かけました。みんなで福山市を堪能しました!
福山の街も満喫されたんですね。
はい。「愛理班」と「大勢班」の2班に分かれて名所を廻ったんです。「愛理班」は福山城を中心とした市街地で、「大勢班」はデニム工場などを巡りました。
『推しが武道館いってくれたら死ぬ』では岡山、『18歳、つむぎます』では広島と、瀬戸内を舞台にした作品が続いていますね。
瀬戸内は、開放感がすごくて時間も流れもゆっくりに感じるほどで、鞆の浦をはじめ良い景色をいっぱい見ることができました。作品の冒頭で山から海へと続く坂道を自転車に乗って下っていくシーンがあるのですが、広がる海の景色もすごく綺麗でした。実はそのシーン、撮影初日に撮ったので、私自身も綺麗な景色を見た新鮮な気持ちがそのまま表情に出せているのではと思っています。
せっかく福山の観光スポットを回られたそうなので、ぜひ伊礼さんのおすすめスポットを教えてください。
福山城と鞆の浦はぜひ訪れてほしいですね。福山城の見た目は歴史ある風情でカッコ良さがありつつも、お城の中はいろいろなことが体験できる現代的な感じで、外も内どちらの良さも楽しめます。鞆の浦はもちろん景色も良いのですが、周辺にパン屋さんやお団子屋さん、人気のご飯屋さんもあっていろいろ巡ることができるんです。ぜひこの2つは行って欲しいなと思います♪
ちなみに福山の名産でもあり、作品にも登場する「デニム」ですが、伊礼さんは普段履かれますか。
普段はあまり足を多くないこともあってパンツを履くことが多いのですが、特に夏、デニムを履くことが多いですね。デニムはカッコよくキマリますし、楽に履きこなせるのもいいですね。
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話題作に続けて出演をされている伊礼さんですが、お芝居を演じるにあたってどのようなことを大切にされていますか。
お芝居に対して、何よりも一番時間をかけて考えていますし、妥協をしないように意識しています。「これでいっか」のような気持ちを持たず、自分が満足いくまで家から出ない、とかもありますし。きちんと落とし込んで、自分がいいと思えたものを出すようにしています。オーディションとかで思い通りに行かず、悔しい思いをすることもありますし、そういったものを無くしていくためにも、きちんと考えて役を落とし込んでいくようにしています。
セリフはすぐに覚えられる方ですか。
最近、覚えるのが早くなりましたね。台本で覚えるというよりページで覚えるというか。最初、セリフだけ覚えて、あとはザーッと読んで、寝て、ページで覚えている感じです。おかげで学校のテストも試験前にバーっとみて覚えられるようになりました(笑)
『18歳、つむぎます』のほか、これから先もまだまだ作品への出演が決まっているそうですね。そんな引っ張りだこの伊礼さんですが、ご自身が考える自身の強みや特徴はどのようなところだと感じていらっしゃいますか。
私自身がすごく明るい訳でもすごく暗い訳でもない、どちらかにも寄っていない中間の存在でいるイメージなので、どちらへもすぐに転びやすさがあるからなのかなと感じています。『この小さな手』では割とはっきりとしたサバサバした性格の女子高生の役で、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』の「市井舞菜」は引っ込み思案で内気でシャイな子だったり、いただく役が幅のある役なんです。それは、やっぱり私自身がまだ何色にも染まっていないところが、強みというか、理由なのかなと思います。
『推しが武道館いってくれたら死ぬ』では、言葉を発せずに目線や仕草で気持ちを表現しないところは芝居としても難しさを感じます。
原作を見て勉強をすることもありますし、常に目線や手の位置など、気をつけています。どうしてもセリフがないと怖く見えてしまいがちなのですが、そうならないように、目ヂカラなど、ひとつ一つの仕草にこだわって演技を心がけました。
「舞菜」を見ていると、もっと気持ちを「えりぴよ」さんに見せてあげて欲しくなりますね。
ドラマも最初の4話くらいまでは、あえて「舞菜」が何を思っているのか伝えないことになっていたんです。ただ、「えりぴよ」さんが可哀そうと言っている声も多かったですけど(笑)。でも5話以降、「舞菜」の「えりぴよ」さんへの想いがどれほど強いかが見えてきたので、よかったなと思っています。
出演されている『ちひろさん』のほか、今後公開される『この小さな手』『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』について、それぞれ伊礼さん出演の見どころを教えてください。
『ちひろさん』の出演シーンは少ないのですが、二次元の男性アイドルにハマっている高校生役です。いつもよりも飾っていないサバサバしていて、女子同士の少し人間関係の難しさが上手く伝わればと思っています。
『この小さな手』は「葉山舞香」という女子高生役なのですが、周りを見ている大人な高校生の役です。いろいろなことを抱えてはいるけれど、それを感じさせない明るさを観ていただけたら。
『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』は、ドラマでも見られた「舞菜」の成長がまた一つ成長していきます。内気でシャイな「舞菜」がどこまで成長するのか、ぜひ観てもらえると嬉しいです。
『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』では、またライブシーンは観られるのでしょうか。
はい、ライブシーンはしっかりあります。歌も踊りも、みんなで頑張って取り組んで撮影したので、ぜひ観てください♪
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プライベートについても、幾つか聞かせてください。最近ハマっていること、教えてください。
「ピスタチオ」にハマっています♪ ケーキやチョコレート、キャラメル、アイスなど「ピスタチオ」と付いていたら、手に取るようにしています。今年になって初めて「ピスタチオ」を食べたのですが、美味しいことに気づいて、今がピークですね(笑)
お休みの日の典型的な行動パターンを教えてください。
お休みは、散歩するか映画を観るかのどっちかのパターンが多いんです。散歩は、最近になってよくするようになりました。何も考えずにひたすら歩くんです。一日中お散歩して、写真を撮って、どこかに立ち寄ったりして。知らない駅の周辺を1時間くらいかけて散策します。割とひとり行動が好きなんです。
探検家のようですね♪
はい(笑)。最近になってアクティブになりました。休みの日、ちょっとでも外に出たいと思うようになったんです。
プロフィールの趣味の欄に「読書」がとありますが、歩く時に持って行ったりするのですか。
散歩先では、音楽しか聴かなくて、イヤホンだけ着けて何も持って行かずに手ぶらで歩いています。
そんな軽快な感じなんですね。
そうなんです。割とふらっと旅をしています♪
カッコ良いですね(笑)。ちなみに本はどういったものを読まれることが多いのですか。
小説が多いですね。本屋さんで気になるものを買ったりすることもありますし、誰かにお勧めされた本だったり、SNSで知って面白そうと思ったものを買ったりしています。
4月から高校生最後の年、3年生になりますね。心境的にはどのような気持ちですか。
今のところ寂しい気持ちよりも、あと一年、高校生活を楽しんで次のステップでも頑張ろうー!といった気持ちでいます。
お仕事で周りに大人の方と接する機会も多い影響もあるのかもしれないですね。
そうですね、ちょっと大人に憧れることもありますね♪ 近くで働くカッコ良い姿を見ているので、私もこういう大人になりたいと自然に思うようにはなりますね。
高校生のうちにやっておきたいことはありますか。
「制服ディズニー」はまだ一度もやったことがないので、高校生のうちにとは思っています♪
では、最後に映画の話に戻って『18歳、つむぎます』を見てくれる方にメッセージをお願いします。
大人になることや、歳を重ねることに抵抗のある方がいると思います。私自身も、このまま大人になって良いのかなと思うこともあるのですが、そういった方に寄り添った映画でもあります。10代の方はもちろん大人の方にも、きっと胸に届くものがあると思うので、前に進むきっかけになる作品になれたら嬉しいです。
【映画情報①】
公開:2023 年3月24日(金)
映画『18歳、つむぎます』私の卒業 第4期-
広島県福山市。とある高校三年生たちは18歳で新成人になるという人生の岐路に立たされていた。主人公の愛理は新聞部に所属。毎年行っている街の観光PRポスターの制作を楽しみにしていたが今年は中止になってしまう。代わりのPR企画を提案しようとクラスに協力を呼びかけ、愛理はみんなの協力の元、ある一つの答えに辿り着く。将来、恋愛、友人との関係。自身の未来に思い悩む18歳を切り取った、眩い青春の成長物語。
<出演>
伊礼姫奈 高橋璃央 吉田晴登 佐藤愛桜 植村颯太 白上理桜 相羽星良 加部亜門 舟木健 木村伊吹 山下晃季 城夢叶 SOYO(@onefive) 角心菜 阪上はづき 倉沢杏菜 もか
谷真唯子 永島彩花 風吹ケイ 堀野内智 牧海斗 涼雅 大山蒼生 大崎凛 速瀬愛 小林虎之介
<作品概要>
脚本:高石明彦
監督:北川瞳
音楽:片田陽依
企画・制作:The icon
Twitter
https://twitter.com/sotsupro
Instagram
https://www.instagram.com/sotsupro/
【映画情報②】
公開:2023 年4月8日(金)
映画『この小さな手』
公式サイト
https://holdyourhand-movie.com/
Twitter
https://twitter.com/HYH_0408
【映画情報③】
公開:2023 年5月12日(金)
映画『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』
公式サイト
https://oshibudo-movie.com/
Twitter
https://twitter.com/oshibudo_abc
【プロフィール】
伊礼 姫奈 Himena Irei
伊礼 姫奈(いれい・ひめな)。2006年2月7日生まれ。群馬県出身。155cm。趣味:読書・写真を撮ること。特技:マラソン・料理・和太鼓。アミューズ所属。
4歳から女優活動をスタートし、これまでに数多くの作品に出演する。主な出演作にNHK「とと姉ちゃん」(2016)、WOWOW「向こうの果て」(2021)、TBS「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(2021)。 2022年には映画『マイブロークン・マリコ』や10月期連続ドラマ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」にレギュラー出演。2023年には2月『ちひろさん』のほか、4月8日公開『この小さな手』、5月12日公開『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』、DMM TVにてカネコアツシによるマンガ「EVOL」のドラマで「アカリ」役に挑む。そのほかにも、2023年中に出演する作品が多数控える。また現在放送中のCM 「JTB いよいよ、海外旅行はじまる。」にも出演中。
公式Instagram:@ himena_irei
公式サイト
https://www.amuse.co.jp/artist/A8442/index.html