悩みを抱えた少女たちのひと夏を描いた青春ファンタジー映画『ブルーを笑えるその日まで』が、12/8(金)にアップリンク吉祥寺にて公開となる。若き女性監督・武田かりん氏が自身の経験をもとに描いた本作で、W主演を飾った女優・渡邉心結と角心菜の二人へのインタビュー。二人にとって初めての主演映画となる本作は、傷つきやすく繊細なティーンの感情描写を儚さとリアルさを彼女たちの表現力をもって美しく映像化されています。今後の飛躍も期待される二人の若き女優に、映画の撮影について、プライベートについて、話を聞いてみました。

Photo:安田まどか
Text:kukka編集部

二人とも初めての主演作とのことですが、どういった経緯で出演が決まったのですか。

渡邉&角:オーディションです。

オーディションでの手応えはどうだったのでしょうか。

渡邉:オーディションが終わってから、いつも以上に手応えがあったことを覚えています。この映画に携わりたいという思いが強くあって、自分を全部出し切った実感もありました。

角:私は逆にオーディションが終わった直後、あまり自信はありませんでした。でも、アイナ役を演じた時は、なぜか演じ切った自信があったことを覚えています。だから、アイナ役に決まったと聞いた時には、とても嬉しかったです。

オーディションで何かしらの手応えがあったんですね。

角:台本を読んだ段階から、アイナのセリフがしっくりきているのを感じていました。だからアイナを演じたいと思ってオーディションにも臨んだので、決まったときは嬉しかったです。

出演が決まった時にはどなたかに報告はされましたか。

渡邉:事務所の方から母に連絡が入ったので、私は母から聞きました。本当は驚いていたのかもしれないのですが、母が意外と冷静に「出演が決まったみたい」と教えてくれたんです。母とは、その後、ハイタッチをしたことを覚えています(笑)

角:私はすぐ母に報告して、その場でハグをしました(笑)

二人の演じられた女の子は、それぞれどのような人物像でしょうか。

渡邉:アンは自分の感情や思っていることを人に伝えるのが苦手な女の子です。実際の私とは違う、どちらかというと真逆な性格だと思います(笑)。そのため、がんばって演じなければと感じていました。

自分とはかけ離れた役を演じるために、どなたかをイメージされたのでしょうか。

渡邉:具体的に誰かをイメージすることは無かったのですが、監督といろいろ話し合ってイメージを膨らませていきました。

アイナ役の角さんはいかがでしょうか。

角:アイナは笑顔が素敵な女の子ですが、ただ明るいのではなく、悲しい過去を持つからこそ、アンにも寄り添えるような表現できるように演じました。あと、監督ともたくさん話をして役を作りあげました。監督が言うには、アンは学生時代の監督をイメージした女の子で、アイナは監督がその当時欲しかった存在として描かれています。その話を聞いて、私自身がその存在に近づいていこうと考えていました。

アンは口数が少ない分、思いや感情を表現することが言葉以外で必要だったかと思います。その点では、どのような演技を心がけようと思われましたか。

渡邉:セリフが少ない分、表現できるのが仕草や表情、なかでも「目」を特に意識しました。言いたいけど言葉にできない気持ちを表現するのは、やはり難しかったです。監督から映像を見せてもらい、そのイメージを大切に演じられたことはおおきかったです。

その映像は何かの作品ですか。

渡邉:『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』という映画です。この作品を観て、よりイメージを膨らませました。

そういった細かなところまで監督と話を詰めて、人物像を作り上げていったんですね。アンの対極な存在としてアイナがいると思いますが、角さんが思う一番意識したところ、また、ここは上手く演じられたのではと実感できたシーンはありますか。

角:アンはもともと誰にも心を開くことができなかったけど、アイナには唯一心を開くことができる存在。そんなアイナはどんな子だろうと想像した時に思ったのは、ついつい相談したくなるような女の子で、笑顔だったり話し方だったり、そういう雰囲気をもつ女の子なんだろうなと思いました。あと、手応えを一番感じることができたのは、9月1日のシーンですね。撮影する直前まで、どう演技をすべきかうまく掴みきれていなかったのですが、直前になって監督と話をしたことで上手くいったと思います。自然と涙が出てきて、感情移入がうまくできたので、私自身、とても好きなシーンになりました。

アンにとってアイナは必要な存在だったし、アイナにとってもアンが必要な存在であることを実感できるシーンでしたね。渡邉さんの方では、一番上手く演じられたと実感できたシーンはどちらでしょうか。

渡邉:そうですね、アイナと出会う前と出会った後、最後のシーンでアンの変化は大きく3つに分けられます。それぞれアンが成長する姿をとても意識したので、そこに気づいてもらえると嬉しいですね。

川に入るシーンもありましたが、撮影が夏だったとはいえ、大変な撮影だったと聞いています。寒くなかった分、夏の撮影ならではの大変なことはありましたか。

角:ありました。屋外での撮影ではすごく虫に刺されてしまいました(笑)

渡邉:そう、すごく虫が多くいました(笑)

角:神社で撮影するシーンは特に虫がたくさんいたんですが、気にしないように頑張って撮影しました♪

お互いに、角さんは渡邉さんと、渡邉さんは角さんと共演ができてよかったなと思えたことを教えてください。

渡邉:撮影の現場でというよりは、撮影以外でも、アイナと同様にすごく寄り添ってくれているのを感じていました。

角:普段の私は、相談を受けることが多くて、自分から相談をすることはあまりなかったのですが、渡邉さんにだったら何でも相談してしまうほど、仲良くなりました。芝居のことだけではなく、プライベートなことまで何でも話せています。撮影が終わってからも、渡邉さんが携わった仕事のニュースを知るたびに、私も頑張ろうと良い刺激をもらっています。お仕事を頑張る!、渡邉さんはその源にもなっています。

また何年後かに、仕事を一緒にできると良いですね。

角:撮影中にも同じこと話ししていたんです。

渡邉:ね〜♪

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プライベートについても質問させてください。ふたりとも現役の高校生ですが、これからやってみたいことはありますか。

渡邉:あります! 自転車に乗って、友だちと海まで行きたいです。家から海までは自転車で1時間くらいはかかると思うんですけど、いつか行ってみたいですね。あとJKケーキを作りたいです!(笑)

JKケーキ(笑)、作ったらぜひSNSにアップして欲しいですね。

渡邉:はい、SNSにあげます!でも絶対に失敗すると思います(笑)

角さんは何かしてみたいこと、ありますか。

角:制服でディズニーランドに行ってみたいです! 高校生の今しか制服を堂々と着ることはできなくなるので、友だちとディズニーに行くのが憧れです♪ カチューシャとかみんなお揃いで付けたりして。

近いうちに実現できそうですね。

角:はい。写真をたくさん撮って、たくさんSNSに投稿します!

高校生活、楽しそうですね。

渡邉:高校生のうちだったら、何をしていても楽しいかも♪

角:今の仲の良い友だちも高校を卒業したら離れ離れになってしまうので、何気ない毎日の思い出を残すため、写真はいつもたくさん撮っています。

作品に関連して、幽霊やお化けは平気なタイプですか。

角:ホラー映画はあまり観たくはないのですが、ビビりながらも好奇心が勝ってしまい観てしまうタイプです(笑)。でももし、自分の知っている人が亡くなった後、幽霊として現れてくれたら、私に会いにきてくれたんだと思って、怖いよりも嬉しい気持ちになるかも知れないです。

渡邉:ホラー映画やお化け屋敷は平気なんですけど、家にいる時に、ふと人影が見えたりしたら怖いです。

角:見えたこと無いもん。

渡邉:私も無いけど(笑)。でも見えたら、と思うと怖いです。

作品中に万華鏡が出てきましたね。あの万華鏡は最後、記念にもらえたりできたんですか。

角:いえ、回収されてしまいました(笑)

渡邉:でも、劇中にも出てくる熊のキーホルダーはみんなでいただきました。

何色をみなさん、持っているんですか。

渡邉:私が青で、しずくちゃん(成宮しずく)が赤で、ひなたちゃん(佐藤ひなた)が黄色、まるりん(丸本凛)が緑。

角:で、私が紫色を持っています♪

二人とも名前に「心」の漢字が入っていますね。それにかけて、今年「心」に響いたこと、何かありましたか。

角:ずっと行ってみたかった「Mrs. GREEN APPLE」のライブに行ってきました!

渡邉:いーな〜。

角:小学生の頃から、ずっと好きだったんです。ずっと好きだった曲を生歌で聴けることに、鳥肌が立つほど、嬉しくて感動しました。ライブに行くこと自体も初めてだったんです。実は2回、観に行って、1度目はさいたまスーパーアリーナで、2度目は西武ドームでした。ペンライトに包まれている会場の光景が、今でも忘れられません。本当に夢のような時間でした。

渡邉:私はスパイダーマンが大好きで、最新作もすごく感動するんです。何回観ても、泣けるほど感動します! 2002年の(サム・ライミ監督作品)スパイダーマン映画から、すべての作品を観ているんです。

映画が好きなんですね。ほかにおすすめの映画はありますか。

渡邉:『ラーゲリより愛を込めて』がおすすめです。絶対泣けます。主題歌は「Mrs. GREEN APPLE」なんです。劇中、曲がかかった瞬間に涙が出ちゃいます。

角さんはどんな映画がおすすめですか。

角:『ラーゲリより愛を込めて』はもちろん、『そして、バトンは渡された』も好きな映画です。普段、私は悔しくて泣くことはあるんですけど、感動して泣くことはあまり無いんです。でもこの作品は人前でも泣いちゃうほどの感動できる作品でした。伏線回収もものすごい作品なんです。何度でも観たくなる作品です。

では最後に、映画を観てくれる方にメッセージをお願いします。

渡邉:アンと同じような悩みを抱えている人に観てほしい作品です。友人のことで悩んでいる方や、学生だった頃に悩んでいた経験のある方にも観ていただきたいです。そういった方々が観た時に勇気をもらってくれたら嬉しいです。

角:作品を観てくれた方が、自分のことを今以上に大切に感じてくれたり、周りを見回してみて手を差し伸べたいと思ってもらえたら嬉しいです。映画を通して、みんなが優しくなって、その優しさが広がっていくような作品になってくれたらと思います。そして、私たち二人ともこの映画が大好きなので、同じように好きになってもらえたら嬉しいです。


【映画情報】

公開日:12月8日(金)

『ブルーを笑えるその日まで』

(あらすじ)
安藤絢子(アン)は学校には馴染めない、ひとりぼっちの中学生。 薄暗い立ち入り禁止の階段が唯一の居場所だった。 そんなある日、不思議な商店で魔法の万華鏡を貰う。それを覗くと立入禁止の扉が開きその先の屋上には同じ万華鏡を持った生徒、 アイナがいた。二人はすぐに仲良くなり夢のような夏休みを送るのだが、屋上には「昔飛び降り自殺した生徒の幽霊が出る」という噂があった。その幽霊がアイナなのではないかと疑念を抱きながらもお互いにとってかけがえのない存在になっていくのだが・・・

<出演>
渡邉心結 角心菜
丸本凛 成宮しずく 佐藤ひなた 夏目志乃 片岡富枝
宮原俐々帆 根本拓洋 鳥谷宏之 土屋いくみ
若林秀敏 松澤可苑 荒澤智也

<スタッフ>
脚本・監督:武田かりん
撮影:上野陸生 照明:稲葉俊充 美術:野中茂樹 ヘアメイク:吉田冬樹
助監督:平岡凌 制作:田丸さくら
プロデューサー:田口敬太 協力プロデューサー:田中佐知彦
特別協賛:株式会社 MagniFICA、松本悠
主題歌:RCサクセション『君が僕を知ってる』
(Licensed by USM JAPAN, A UNIVERSAL MUSIC COMPANY)
製作:映日果人 / 武田かりん / kotofilm
配給:映日果人 配給協力:SPOTTED PRODUCTIONS
協力:埼玉県 / SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ
©2023 ブルーを笑えるその日まで

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【プロフィール】

渡邉心結 Miyu Watanabe

渡邉心結(わたなべ みゆ)
2007年9月4日生まれ。神奈川県出身。身長:160cm。趣味:キャンプ。特技:野球、短距離走。所属:スターダストプロモーション。
スターダストプロモーション主催の第1回「スター ☆オーディション」(2019年)女子部門にて初代グランプリを受賞。翌年にはドラマ「バベル九朔」で役者デビューを果たす。2021年にはドラマ「二月の勝者」のオーディションを勝ち抜き、連続ドラマのレギュラー出演を獲得する。2022年ドラマ「オクトー〜感情捜査官 心野朱梨〜」では、主人公の幼少期役に抜擢され着実と活躍の場を広げている。
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公式ウェブサイト

角心菜 Kokona Sumi

角心菜(すみ ここな)。
2006年5月4日生まれ。大阪府出身。身長:155cm。趣味:読書、料理、ウクレレ、愛犬と遊ぶこと。特技:空手(初段)、ジャズダンス、数学。所属:ステッカー。
5歳からモデルとして活動を始める。ミスセブンティーン2021のファイナリストに選出される。WOWOW「こころのフフフ」(2021)がドラマ初出演。その他の出演にTVK「おいしい給食season2」、「劇場版 おいしい給食 卒業」などがある。
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