4月12日（金）より東京・大阪で舞台『鴨川ホルモー、ワンスモア』の公演が開催になる。ニッポン放送とヨーロッパ企画の上田誠氏による舞台シリーズで、またニッポン放送開局70周年記念公演でもある本舞台。その主演として白羽の矢が立ったのが、メンズノンノ専属モデルのほか、ドラマへの出演も急増中の「中川大輔」。女子にも男子にも好感を持たれる爽やかさと、業界関係者も見逃さない“気になる存在感”で見事に舞台主演を掴んだ注目俳優。美大出身のアートに浸るプライベートも魅力的な26歳。そんな中川大輔さんに初主演舞台を直前に控えた心境について、また趣味のアート巡りについて、楽しくインタビューさせてもらいました。
Photo 望月宏樹
Text：kukka編集部
初主演舞台となりますが、率直な気持ちを聞かせてください。
楽しみな気持ちでいます。以前に出たことのある舞台とは違い、今回は主演として、ずっと舞台に出ていられる、ずっと芝居をしていられる、それが俳優として嬉しく思います。役への深度であったり、作品への関わり方が違ってくると思います。未知なところへ踏み込むワクワクした気持ちもあります。
座長としても周囲を気に掛けたり、大変そうに感じます。
共演される方々は猛者ばかりなので、みんなを引っ張っていくよりも、まずは僕自身ができることを、たとえば毎日を元気でハッピーにいることに集中しようと思います。現場の空気やポジティブさを舞台でも前面に出せたらいいですね。
今回の主演舞台が決まった経緯を教えてください。
もともとニッポン放送がヨーロッパ企画さんと定期的に行っているプロデュース公演では、ゲストを主演に据えて舞台を作られていて、今回は僕に声を掛けていただけました。また、僕が出演した昨年放送のNHKコメディードラマで『ラフな生活のススメ』を今回のプロデューサーの方が観てくれていたことも今回の出演に繋がっていると聞いています。
これまでの出演作品を誰かが見てくれていて、今回のように主演の依頼に繋がっていく、すごく良いお話ですね。
嬉しいですね。出演作を観て、抜擢してみようと思ってもらえることが。いろいろな役を経験して、今があって、またこれからの役にも繋がっていくと実感することができました。
これからの仕事もますます楽しみになりますね。
『ラフな生活のススメ』からこの仕事に繋がって、またこの舞台から次の想像もしなかったような仕事に繋がっていくかと思うとワクワクしますね。いろいろな人がこの舞台も観に来ると思うので、全力で演じたいと思います。
原作も読まれたそうですが、感想を聞かせてください。
あっという間に読み切ってしまいました。一見、難しそうな題材なのに、ページを捲る手が止まらなかったほど、面白い展開やスピード感がありました。物語の展開を折れ線グラフで表すと、ものすごい上下に激しい折れ線が描けるほどのストーリーで面白かったです。
作者の万城目学さんともお話をされたそうですね。
何かのヒントになればと思い『鴨川ホルモー』を書かれた当時のエピソードを伺いました。万城目さんのデビュー作でもありますし、主人公の「安倍」は、万城目さん自身が一番色濃く反映された人物だろうと勝手に思い込んでいたんです。実際、万城目さんは話のベースや間が面白い方でした。万城目さんと上田さんと男性ブランコのふたりが話している様子を見ていたら、しっかりお笑いのロジックがある方たちが楽しく喋っていると感じたんです。淡々とおかしなことをお話されている万城目さんの姿が、そのまま「安倍」にも繋がっていると感じています。
万城目さんと「安倍」は重なる部分がある印象だったんですね。
あと、僕の母親が昔から万城目さんのファンなんです。それを万城目さんにお話したら、とても喜んでくれました（笑）
何よりの親孝行ですね。お母さんも舞台は観に来られるのでしょうか。
そうですね、恥ずかしいですけど（笑）
中川さんと「安倍」が重なる部分はありますか。
うーん……。違うなと思ったのは、落ち込んだ時の落ち込みの深さですね（笑）。ただ、似ているかもしれないなと思えるのは、何事にも極端なところです。１つ何かが決まってしまうと、大袈裟というか振り切ってしまうところは似ているかもしれません。僕も、マラソンにハマっていた時期があるんですが、ひとりで勝手に42.195kmを走ったんです。さすがに自分でも極端だなと思いましたね（笑）
マラソンのレースとかではなく一人だけでですか。
はい、ひとり公園で走りました。
それは、かなり……ですね（笑）
登場人物の中では一番共感できるのが「安倍」でしたし、観ている方の中にも「安倍」に共感できる方は多いのではと思っています。
ヨーロッパ企画の上田さんとは、どのような話をされているのでしょうか。
上田さんには、「ウケを狙ったり、コメディーっぽくしようとは考えていなくて、「安倍」を全力で演じた結果、笑いが生まれたらいいですね」と話をしました。上田さんもまったく同じ考えで、ヨーロッパ企画の劇団員の方たちも、真剣に演じた結果、お客さんが笑っているという状況がヨーロッパ企画さんのコメディーの特徴だと仰ったんです。だから、僕もその点は大事にしたいと思いますし、そうした笑いが起きた時に自信を持ってもいいのかなと思いました。
公演スケジュールを見るとかなりハードで、体力も必要そうですね。
舞台の経験があまりないので、実際にどれほど体力を使うのか、まだイメージができていなんです。でも、しっかり食事を摂って、睡眠も十分に取ろうと思います。純粋に、舞台のことだけに集中するつもりです。
初めての主演舞台ということで、何か準備はされたのでしょうか。
個人的に、この舞台のためにレッスンを受けています。そこで聞いたのですが、映像の芝居とは違う、舞台ならではの芝居について、なるほどと思うことがありました。映像の場合は、当日に会ってそのシーンを撮影して終わります。けれど、舞台だと1か月間の人間関係が、そのまま芝居に表われてくるんだ、と聞きました。仲が良い役の人とは舞台以外でも仲よくした方が良い。話し方も普段の仲の良いトーンのまま話した方がいい、と聞きました。稽古を含めた長い期間があるからこそ、共演者との関係性づくりも映像作品とは違う、大事なことだと感じました。
今作では、あまり共演経験のない方が多いそうですね。初めましての方ばかりの現場でも気にされない方ですか。
普段の僕を知っている人がいないことがかえってやり易いこともあるので、良かったのかもしれないです。それに、仲の良い人がいたら、その人とばかり話をしてしまうかもしれません。せっかく主演を務めさせていただくので、みなさんとフラットな関係性で臨めるのは良いことではと思っています。
今回の主演舞台を経験されて、どういった成長が得られると期待されていますか。
“主演”を任せられる俳優像になれていたら嬉しいです。これまで、他の役者を引っ張って何かをしたり、演者の真ん中で何か実績を残してきた訳ではないので、主演という器には縁がないかもしれないと思っていたこともあったんです。今回、この舞台のお話を頂いた時に、主演を任せてもらえる俳優になりたいと素直に思えたんです。自分でもそれに相応しいと納得できたらいいですし、舞台を観てくれたお客さんにも、そう感じてもらえる役者になりたいですね。この舞台を終えてからも、またみんなの真ん中に立てるような役者になれたら嬉しいです。
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プライベートな質問も聞かせてください。以前のインタビューでは、時間を作って絵を描きたいと話されていました。あれから、実現されましたか。
油絵を9つ描いて、それをお客さんに配る企画をやりました。その時は、怒涛のように描きましたね。
今は手元にご自身の作品はないのでしょうか。
全部、お客さんにお渡ししたので、手元には無いですね。ものすごく頑張って描いたので、今もちゃんと持ってくれていると良いんですけど（笑）
休みの日には美術館も巡りたいと、話をされていました。残念ながら昨年末に閉館してしまいましたが、以前に行きたいと言っていた「アートビオトープ那須」へは行けたのでしょうか。
＞＞過去インタビューはこちら
行きました。友人と3時間くらいかけて行ったので、「すごく遠かったな」という思い出になっています（笑）。でも、人工的に作られた水庭はすごくキレイでした。もともとその水庭を作られた建築家の石上純也さんのことが好きだったので、実際に見ることができて良かったです。今年の１月に石上さんが作られた山口県にあるレストランにも行きました。変わらず、建築巡りは今でもしています。
山口県にあるレストラン「maison owl（メゾン・アウル）」。すごいレストランですね。
空間が洞窟のようになっているんです。食事をしていて思ったのが、光もあまりなくて暗いですし、お店に流れている音楽も原始的な音で、洞窟に住んでいた頃の人間に戻ったような気持ちにもなれます。そのせいもあって、食事がものすごく美味しく感じたのを覚えています。原始時代みたいな空間で、食事をすることで、味覚が洗練されて、より美味しく感じられたのは不思議でした。山口県の宇部市にあるレストランですが、町も静かでそれも良かったですね。
次に見に行きたい建築や美術館はありますか。
石上さんが作られたもので、国内にあるものはすべて見終えてしまいました。なので次は現在制作中の中国にできるチョコレート美術館に行ってみたいのですが、少しハードルが高いですね（笑）。石上さんの建築ではないのですが、身近なところで言うと、最近できた麻布台ヒルズには、舞台が終わったら見に行こうと思います。
もう一つ、最近の中川さんがおすすめしたいものは何かありますか。
万城目学さんの短編集『ホルモー六景』に、梶井基次郎の小説『檸檬』が登場するんです。「もっちゃん」という短編ですが、それを読んでいたら、とにかく『檸檬』が面白うそうで、実際に読んでみたんです。やっぱり面白かったです。『檸檬』のおすすめポイントは、10ページくらいの短い作品です。15分ほどの空き時間で読める小説なので、ぜひ皆さんにもおすすめしたいですね。
仕事での出会いが、プライベートにまで派生していますね。
そうなんです。この話を万城目さんにもお話したら、とても喜んでいただけました。
作品をより深く知ろうとする中川さんの姿勢は、万城目さんにとっても嬉しいですよね。
それでは、最後に舞台を観に来てくれる方々へ、メッセージをお願いします。
初の主演舞台でもあり、とにかく全力で「安部」を演じようと思います。原作のファンの方、ヨーロッパ企画さんのファンの方、そういった方々全員に面白いと思ってもらえる舞台になるよう頑張っていますし、開演を今から楽しみにしています。ぜひ生の“笑い”と“感動”のある劇場に足を運んでください。みなさんの感情を動かしに劇場までお越しいただけたらと思います！
【舞台情報】
ニッポン放送開局70周年記念公演
第170回直木賞受賞作家・万城目学のデビュー作を18年ぶりにワンスモア！
『鴨川ホルモー、ワンスモア』
ヨーロッパ企画・上田誠とニッポン放送が手掛ける舞台シリーズ第4弾！
原作：万城目 学（「鴨川ホルモー」「ホルモー六景」／角川文庫刊）
脚本・演出：上田 誠（ヨーロッパ企画）
＜キャスト＞
中川大輔 八木莉可子 鳥越裕貴 清宮レイ（乃木坂46） 佐藤寛太／ 石田剛太 酒井善史 角田貴志 土佐和成 中川晴樹（ヨーロッパ企画） 藤松祥子 片桐美穂 日下七海 ヒロシエリ／ 浦井のりひろ（男性ブランコ） 平井まさあき（男性ブランコ） 槙尾ユウスケ（かもめんたる） 岩崎う大（かもめんたる）
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＜公演日程＞
■東京公演：2024年４月12日（金）〜29日（月祝） 会場：サンシャイン劇場（東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ 文化会館4F） チケット料金（全席指定・税込） 一般チケット：平日8,500円 土日祝9,800円 U-25シート：4,500円 ※U-25シートは全日程同一金額、枚数限定、当日引換券、一般発売のみ取扱、要身分証提示 ※未就学児童入場不可
■大阪公演：2024年5月3日（金・祝）、4日（土） 会場：サンケイホールブリーゼ（大阪市北区梅田2-4-9ブリーゼタワー7F） チケット料金（全席指定・税込） 一般チケット：9,800円 U-25シート：4,500円 ※U25シートは枚数限定、当日引換券、一般発売のみ取扱、要身分証提示 ※未就学児童入場不可
＜チケット発売情報＞
■東京公演
チケットぴあ：Pコード：523-616 店頭販売 セブン-イレブン店内マルチコピー機
ローソンチケット：Lコード：32337 店頭販売 ローソン、ミニストップ店内Loppi
イープラス
楽天チケット
■大阪公演
チケットぴあ：Pコード：523-818 店頭販売 セブン-イレブン店内マルチコピー機
ローソンチケット：Lコード：55462 店頭販売 ローソン、ミニストップ店内Loppi
イープラス
CNプレイガイド：0570-08-9999［10:00～18:00］
楽天チケット
ブリーゼチケットセンター：06-6341-8888（11:00～15:00）※窓口での販売は残席がある場合のみ。
ＳｋｙシアターＭＢＳ「ミルデ！」オンラインチケット
【プロフィール】
中川大輔 Daisuke Nakagawa
1998年1月5日生まれ。東京都出身。184cm。B型。趣味：ラジオを聴くこと、読書。特技：絵を描くこと、模型製作。研音所属。
『MEN’S NON-NO』専属モデル。第31回メンズノンノモデルオーディションにてグランプリを受賞。モデル業の傍ら、俳優としてもテレビ朝日系「仮面ライダーゼロワン」のほか、日本テレビ系「極主夫道」「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」「ボイスⅡ 110緊急指令室」「コタツがない家」関西テレビ・フジテレビ系「合理的にあり得ない～探偵・上水流涼子の解明～」NHK連続テレビ小説「舞いあがれ！」「大奥」「お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ」テレビ東京「パティスリーMON」など数多くの作品に出演する。
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